22冊目
「死ねばいいのに」
京極夏彦
講談社
- 死ねばいいのに/講談社
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死んだ女のことを教えてくれないか―。
無礼な男が突然現われ、私に尋ねる。
私は一体、彼女の何を知っていたというのだろう。
問いかけられた言葉に、暴かれる嘘、晒け出される業、浮かび上がる剥き出しの真実…。
人は何のために生きるのか。
この世に不思議なことなど何もない。
ただ一つあるとすれば、それは―。
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上記のあらすじが、内容を上手く表しているようであり、ちょっとピントがずれてるようでもあるような…。
まあいいや、私もそんなにうまく説明できないし。
要するに、生前交流のあった人の前に、見知らぬ男があらわれて、死んだ女性のことを何でもいいから教えてほしい、というわけです。
でも、人というのは100%の客観視点ではモノを見れません。
死んだ女性のことを話していても、どうしても「自分と彼女との関わり」という部分がウェイトを占めていきます。
そのうち、気が付けば自分の話に、そして自分の現在の境遇や、過去にあったことなど、怒りや恨みや悲しみや諦めがうずまくネガティブな話になってしまいます。
望んでいたような話ではないと気付いた男は、冷めた視線を投げかけながらこういうのです。
「だったら、死ねばいいのに」
……うん、やっぱり説明が難しい。
男が話を聞きに行った連中が、まあ一癖も二癖もあって、「こんな話、初対面の相手には言わんだろ」と思わなくもないですが、初対面だからこそ言えることとかあるんだろうな、とか思ってみたり。
京極さんが他の作品でよくやるような、見栄や虚飾をはぎ取って真実を明らかにするスタイルが、かなりいい味出してます。
もし私のところに男が現れたとしたら、やっぱり「死ねばいいのに」といわれそうです。
そして私は、それをめいいっぱい拒絶するのでしょう。
それが良いことなのか、悪いことなのかは分かりませんけど・・・