12.「四隅の魔」三津田信三 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

12冊目
「四隅の魔 死相学探偵2」
三津田信三
角川ホラー文庫




城北大学に編入して『月光荘』の寮生となった入埜転子は、怪談会の主催をメインとするサークル『百怪倶楽部』に入部した。


怪談に興味のない転子だったが、寮長の戸村が部長を兼ねており、居心地はよかった。


だが、寮の地下室で行われた儀式『四隅の魔』の最中に、部員のひとりが突然死をとげ、不気味な黒い女が現れるようになって…。


転子から相談を受けた死相学探偵・弦矢俊一郎が忌まわしき死の連鎖に挑む。




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暗い部屋の四隅にひとりずつ立ち、そのうちひとりが壁づたいに隣の隅まで移動する。
隅まで到達したら、そこにいる人にタッチ。
次はタッチされた人が隣の隅まで移動してそこにいる人にタッチ。



4人では一周した時点で途切れてしまうはずだが、ごくまれに何周も続いてしまうことがある。



まるで「5人目」が存在しているかのように…。


と言うのが「四隅の魔」という儀式の概要です。



怪談話でよくあるシチュエーションなので、知っている人も多いのではないでしょうか?



普通にやればもちろん、一周で途切れます。



それでは興醒めだと戸村部長が考えたのは、『最初は5人でこれをやって、何周も何周も続けたあとに、あらかじめ引いていたくじで当たりを引いた人物がそっと部屋の中央まで行き、そこで待機する』という悪趣味な方法でした。



誰が『抜ける役』かは知らされていないので、自分にタッチしてくる人物が、そして人物がタッチする人物が、ひょっとしたら人間ではない別のモノに入れ替わっているかもしれないわけです。



一度そう意識してしまったら、

『足運びが違った気がする』
『手の温度が違った気がする』
『服の質感が…』
『気配が…』

等々、次から次へと浮かんでくる疑心暗鬼。



このへんは転子の一人称がで描かれているんですが、その転子の恐怖感がひしひしと伝わってきてかなり怖かったです。



やっぱり目に見えない、何か分からない、という恐怖が一番怖いキツいんだなぁ、と再認識した1冊でした。



この本はミステリーとホラーを両立させている本なので、純粋にホラー小説という訳ではないのですが、こういう良質の作品を読むと、また久々にホラー小説にも手を出してみようかな~、なんて思ってしまいます。




『積読本70冊越えの貴様がどの口でそんなたわごとをほざくのだ』

あ、心の声が…