91.「オー!ファーザー」伊坂幸太郎 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

91冊目
「オー!ファーザー」
伊坂幸太郎




みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は、六人家族で大変なんだ。

そんなのは珍しくない?

そうじゃないんだ、母一人、子一人なのはいいとして、父親が四人もいるんだよ。

しかも、みんなどこか変わっていて。

俺は普通の高校生で、ごく普通に生活していたいだけなのに。

そして、今回、変な事件に巻き込まれて――。




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この本が出る前の伊坂さんと言えば、「あるキング」やら「SOSの猿」やらけっこう実験的挑戦的な作品が多かったような気がするので、何か久しぶりに王道の伊坂作品を読んだなという気分になりました。



何と言っても個性的な四人の父親たちが微笑ましくてたまらない。



性格もキャラクターも全然違うのにひとつ屋根の下で喧嘩もせずに暮らしてて、友達同士みたいに砕けた会話をしてるのにお互いのことは「さん付け」で呼んでて、奥さんラブで息子ラブな変わり者のおっちゃんたち。



そのシチュエーションがもうツボでツボで。



ストーリーや伏線の張り方に関してはもう一捻り欲しかったなと思ったものの、登場人物の魅力でぐいぐいと読ませてくれるのは流石です。



いやもう本当に、この作品だけで終わらせるのはもったいない。



是非とも、続編を希望します。