93.「女の子ものがたり 映画ノベライズ版」 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

93冊目
「女の子ものがたり 映画ノベライズ版」
丹沢まなぶ
原作・西原理恵子





漫画家・高原菜都美、36歳、独身。

故郷を飛び出してもう20年近くが経った。

特に売れている訳ではなく、もうやる気そのものもなくなってきていて、毎日原稿も書かずに飲んだくれて暮らしている。


いつからだろう。買い置いたビールを冷蔵庫に入れなくなったのは。

いつからだろう。ひとくち目のビールがおいしくなくなったのは。

いつからだろう。プルタブを押し込むこの音が、さわやかでなくなったのは。


いつのまにか、あんなに好きだったビールがあんまり好きじゃなくなった。


わたしのまわりから知らないうちに『好き』がだんだん減っていく。


昔わたしのファン『だった』、なんて生意気なことを言う新人編集者のぜんざいくん(ざいぜんくんだっけ?)は、ため息をつきながら


『先生、ともだち、いないでしょう?』


なんて言いやがる。


『いるよ。いるんだ。わたしにも』


脳裏に浮かぶのは、故郷での幼き日々の思い出。


きいちゃん。
みさちゃん。


あの頃からわたしの周りに『好き』なんてほとんどなかったけど、あの二人は、わたしにとってとても大切で、『好き』な友達だった…。




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西原理恵子さんのマンガ「女の子ものがたり」が映画化されて、その映画のストーリーをノベライズ化したのが本書です。



ふと気づけば映画の上映が終わってて、近隣にレンタルビデオ屋が無いのでレンタルで見たりもしてなくて、どうしようかと思っていた矢先、本屋で見つけたのでついつい衝動買いしてしまいました。



ストーリー自体は当たり前だけど原作にあるものが多くあったのですが、もちろん映画オリジナルのものもいくつかあって、その中でも菜都美が廃倉庫の壁に絵を書くエピソードが良かったです。



あと、故郷を後にしたところで終わる原作と違って、ノベライズ版では現在の菜都美が故郷を訪れるのですが、そこらへんの話も良かったです。



うーん、やっぱり映画も観たくなってくるなぁ。