84~86.「マルドゥック・スクランブル」冲方丁 | 町に出ず、書を読もう。

町に出ず、書を読もう。

物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

84~86冊目
「マルドゥック・スクランブル」(全3巻)
冲方丁




なぜ私なの――。
賭博師シェルの奸計により少女娼婦バロットは爆炎にのまれた。
瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にして万能兵器のネズミ、ウフコックだった。
法的に禁止された科学技術の使用が許可されるスクランブル09。この緊急法令で蘇ったバロットはシェルの犯罪を追うが、そこに敵の担当官ボイルドが立ち塞がる。
それはかつてウフコックを濫用し、殺戮の限りを尽くした男だった…。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・




ゼロ年代屈指のSF小説と言われているこの作品。そう言われるだけのことはありました。



魅力的な設定をもつSF小説であり、心を閉ざしていた少女の成長小説でもあり、アツいギャンブル小説でもあり…という様々な側面を見せてくれるのが面白かったです。



あらすじでは明らかに説明不足なウフコックですが、要は自我を持ったネズミです。言葉も喋ります。
そして身体をどんな武器や防具にも変えることができる能力を持っています。



古い例えしか思い付かないですが、「ドラゴンボール」のウーロンとかプーアルの凄い版だと思って貰えると分かりやすいかと。



このウフコックが非常にかっこいい。ネズミなのに。ウフコック(煮え切らない)なんて名前の割に、一番ハードボイルドなキャラ。



「煮え切らない」で思い出しましたが、『卵』関係の言葉を多様しているのもこの物語の特徴ですね。そういうのを探すのも楽しいです。



文体が翻訳小説っぽかったので最初は若干読みにくいと感じましたが、ストーリーが進んでいくとそっちに夢中で気になりませんでした。



沖方作品を読んだのは初めてなので、意識しているのか元々そうなのか分かりませんが。



こりゃあ、前日譚の「マルドゥック・ヴェロシティー」も読まねばならないですね。