79冊目
「凍りのくじら」
辻村深月
藤子・F・不二雄をこよなく愛する、有名カメラマンの父・芦沢光が失踪してから五年。
残された病気の母と二人、毀れそうな家族をたったひとりで支えてきた高校生・理帆子の前に、思い掛けず現れた一人の青年・別所あきら。
彼の優しさが孤独だった理帆子の心を癒していくが、昔の恋人の存在によって事態は思わぬ方向へ進んでしまう…。
家族と大切な人との繋がりを鋭い感性で描く“少し不思議”な物語。
(単行本あらすじより)
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これも再読です。
著者の作品が講談社ノベルズでのみ出版されていたこの頃の作品はだいたい何度か読み返してたのですが、よくよく考えたらこの作品は初再読(変な日本語だ)でした。
何で再読してなかったのかなーと考えて、それこそさっきの「十角館の殺人」じゃないけど、大どんでん返しなオチじゃなかったから印象が薄かったのかなー、なんて思いながら読みました。
そのことをここで深く謝罪したいと思います。
確かにオチは大どんでん返しじゃないかもしれないけれど、印象が薄いなんてとんでもない。
忘れかけていたインパクトを全て思い出しました。
決して派手ではないかもしれないけれど、だからこそ胸に響く物語、というのがぴったりくる内容です。
そういや仕事帰りに電車の中でこの本を読んでて、2日連続で終点まで行ってしまったことを今更ながら思い出しました。
しかも2日目なんか、駅員さんに肩を掴まれるまで気付かずに読み続けていたという(笑)
それだけ没頭できる物語です。
電車で読む時にはお気をつけて。