75.「数えずの井戸」京極夏彦 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

75冊目
「数えずの井戸」
京極夏彦




数えるから足りなくなる。それははかなくも美しい、もうひとつの「皿屋敷」。人口に膾炙し怪談となった江戸の「事件」。独自の解釈で語り直す人気シリーズの第3作。
(「e-hon」あらすじより)



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「1枚、2枚、3枚・・・・・8枚、9枚。
1枚足りない」
で有名な「番町皿屋敷」をベースにしてあるこの作品。



同じ作り方をしている作品が以前に2作品あるので、「怪談シリーズ」の3作目という位置付けにはなりますが、物語としては完全に独立しているので前作を読まなくても大丈夫です。



何か不思議な浮遊感のある作品でした。



主要人物たちには、「数」にまつわる癖とかポリシーとかがあるのですが、それが重なりあって生じた結末。



ちょっとした行き違いのせいでこんな結末になったのだ、とも思えるし、どう転がっても必然的にこのような結末になったんだろう、とも思えてしまいました。



再読したらまた違う感想を持つのかもしれないけれど、いかんせん分厚いからなぁ。



この厚さはもう本というか鈍器ですよ。