97.「空想科学読本9」柳田理科雄 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

97冊目
「空想科学読本9」
柳田理科雄




誰もが不思議に思っているはずなのに、どれだけ歳月が流れても解けない疑問がある。


ウルトラマンは裸か?


岩鬼がくわえている葉っぱは何か?


ネロとパトラッシュの悲劇は避けられなかったのか?


いずれも解決の糸口を見出すのさえ難しい問題たちだが、本書では、あえてこれらの難問に挑んでみた。


「夢あふれる空想の世界に、なんてことを!」などと言うなかれ。


自分の頭を使って自分なりの解答を見つけようとすれば、空想科学の世界は、もっともっと楽しくなる!




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もう、このブログではお馴染みとも言えるこのシリーズ。



今回は、著者が長年疑問に思いながら解決できなかったテーマを取り上げてます。



上記のテーマを見れば分かると思いますが、なぜ解決できなかったかというと、ぶっちゃけ科学を駆使してどうにかなる疑問ではないからなんですよね。



そんなあれこれをどうにか科学的に検証していくわけですが、やはり従来の「空想科学読本シリーズ」よりも科学度は低めです。



ただ、それを発想の転換や文章の面白さでカバーしているのはさすが。



ある意味普通の空想科学ネタよりも面白かったです。



中でも面白かったのは、

「爆笑!変身に苦労するキカイダーの『しめた、いまだ!』全場面」

というテーマ。



悪の組織に脅されロボットを作らされていた博士は、極秘理に一体のアンドロイドへ「良心回路」を埋め込みます。



そのアンドロイド・ジローが変身するとキカイダーになる訳です。



しかし良心回路が不完全だったため、ジローの時に敵の首領が吹く「人造人間を操る笛」を聞くと、「悪の命令」と「良心」がせめぎ合い、変身もできずひたすら悶絶してしまうのです。



ジローがその危機を脱して(つまり何らかの方法で笛の音から逃れて)キカイダーに変身するのが前半部分のクライマックスとなるのですが、その脱出方法が強引すぎるんですよ。笑ってしまうほどに。



失神したフリをして笛の音が止むのを待つ、くらいは序の口。



車が壊れて鳴りっぱなしになったクラクションに笛の音がかきけされて『しめた、今だ!』



敵が放ったミサイルの爆破音で『しめた、今だ!』



クモ怪人のクモ糸を顔面で受けて耳を塞ぎ『しめた、今だ!』



マンモス怪人の氷結ガス攻撃で耳だけが凍りついて『しめた、今だ!』



怪人が母親から赤ちゃんを奪うと赤ちゃんは号泣。その泣き声で『しめた、今だ!』



だったら耳せんかウォークマンを持ち歩いてたら防げるんじゃないのか、と思ってしまう危機からの脱出にはもう、爆笑しっぱなしでした。






いやはや、今回も堪能させて頂きました。



また次回作を楽しみに待ちたいと思います。