9冊目
「9の扉 リレー短編集」
北村薫・法月綸太郎・殊能将之・鳥飼否宇・麻耶雄嵩・竹本健治・貫井徳郎・歌野晶午・辻村深月
当代の壮々たるミステリー作家の面々が、上記の順番でリレーしていった短編集。
リレーのルールは至って簡単。前の人がお題をひとつ出して、次の筆者を指名するという一点のみ。内容は完全に筆者の裁量に任されています。
前の短編にまるまま乗っかるのもあれば、全然違う話に持ってくるものもあり、はたまた前の短編の登場人物がさりげなく横を通りすぎていったり、と色々楽しんで読むことが出来ました。
縛りが緩い分、各々が趣向を凝らす余地が存分にあって、皆さん自分のカラーを出しつつも伸び伸びと書いておられるな、という感想を持ちました。
実は「壮々たる」とか言っておきながら、北村・鳥飼・貫井三氏の作品は、オムニバス短編を除けば単行本では読んだことはなかったのですが、これを機に読んでみたいなぁ、と思ってみたり。
いや、でも今はこれ以上未読本を増やすわけにはいかないんだよなぁ。四十冊以上溜まってるし…。まあ、後々の楽しみとして取っておくことにします。
好きだったのは鳥飼さんと貫井さんのパート。
あと、アンカーの辻村さんもアンカーならではの試みと、テーマを逆手に取った試みと、ふたつも盛り込んであって流石でした。
他の八氏と比べても格段に若くて、「この人の作品だけ読んだことないな」という読者も多いのではないかと思うのですが、そんな人たちにも「おぉ!やるじゃん、辻村深月」と思わせたのではないでしょうか。
などとファンとして優越感に浸ってみたり。
テーマ発表も筆者自身の文章で書かれているし、あとがきも辻村さんから歌野さんへ、歌野さんから貫井さんへ、と手紙を送るような体裁になってるし何か色々盛りだくさんで楽しませて頂きました。
是非またやっていただきたいものです。