71.「しずるさんと底無し密室たち」上遠野浩平 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

71冊目
「しずるさんと底無し密室たち」
上遠野浩平




今日もよーちゃんは、しずるさんが入院している病院に向かう。手には奇妙な事件の資料を持って。



六時間前まで生きて目撃されていた青年の死体は、道路脇でミイラ化した状態で発見された。



とあるカードゲームのもととなったアメリカの家族は、ひとりを除いて首から胴が切り離され棚の上に首が並べられていて、残りのひとりは両腕を切断されて絶命し、その切断された両腕は少し離れた場所で血塗れのチェーンソーを握りしめていた。



祭のパレード中、気分が悪くなり救護所で横になっていた男は、知らぬ間にパレード行列のどまん中で死体となっていた。



通勤時間のオフィス街では、滑るように空を飛んでいた男が時計台に引っ掛かり、落下するとバラバラに砕けた。男は凍っていたのだ。



それらの資料を読み、よーちゃんから話を聞いたしずるさんはこう言う。



「これは密室ね」



確かに屋内で起こった事件もあるけど、屋外で起こっている事件もあるのに密室?



そう聞き返すよーちゃんに、しずるさんは穏やかな微笑みをたたえながら答え始める…。




…………………………




しずるさんシリーズ二作目です。



広義の密室縛りの作品群だったせいもあるのか、前作と比べて突拍子もない展開は少なめ。



そのせいか、少々物足りなさはありました。



ざっくりとした説明ですが、
「おお、そうだったのか!」
と言うよりは、
「あぁ、確かにそれくらいしか可能性はないねぇ」
という印象。



面白いのは面白いんですがね。



既に短編で安楽椅子ものという縛りがあるのだから、これ以上狭めなくても…。