56冊目
「ジェシカが駆け抜けた七年間について」
歌野晶午
ジェシカ・エドルはエチオピア出身の女性長距離ランナー。
家族で移住したアメリカで、陸上競技クラブNMACの監督であるツトム・カナザワにスカウトされブロのランナーとして活動している。
ある日の夜、寝付きが悪く散歩をしていたジェシカは、チームメイトのアユミ・ハラダが怪しげな儀式をしているのを目撃する。
アユミは夜毎に儀式を繰り返しているようだった。
ある日、ジェシカはアユミを問い詰め、あの儀式は「丑の刻参り」という呪殺の儀式だと聞かされる。
しかも、アユミが殺したいほど恨んでいる相手は、監督のツトム・カナザワだという。
コーチ能力もさることながら、人格者としてもチームメイト皆に慕われている監督を恨んでいると知り、理由を問い質したジェシカは、アユミの語る監督の仕打ちに愕然とする…。
……………………
すげー。
大技来ました!
一発勝負のトリックだけども、張り巡らされた伏線に惑わされ続けてしまった。
とはいえ、これだけ綺麗に騙されると気持ちがいいくらいだわ。
プロローグでアユミがジェシカに言った、
「自分が二人いればいいと思ったことない?」
というのが色々な意味でストーリー全般に関わってくるのがとても印象的でした。