52冊目
「『瑠璃城』殺人事件」
北山猛邦
1999年、脳の腫瘍で余命わずかと言われている君代は、今日も最果ての図書館で読書をして過ごしていた。
そこへ樹徒(きと)と名乗る男がやってきた。
彼によると、樹徒と君代は何度も生まれかわりを繰り返し、そのたびにどちらか一方がもう一方を殺してしまうという結末を迎えていて、その呪縛を解き放つため、再び君代に会いに来たという。
しかし、肝心の君代に生まれかわりの記憶はまったくない。
そこから物語は1243年のフランス・瑠璃城、1916年のドイツ・ヴェルダン、1999年の最果ての図書館を行き来しつつ展開する。
瑠璃城では忽然と姿を消した六人の騎士が城から丸一日はかかる場所で首なしとなって発見され、ヴェルダンの戦線では四体の首なし死体が一瞬のうちに消失する。
そして最果ての図書館では、一向に記憶を取り戻さない君代に痺れを切らし、樹徒が強行手段に出る。
生まれかわりの連鎖を断つことはできるのか…。
・・・・・・・
すごい壮大。
3つのミステリをいっぺんに読んでるような気分。
北山さんといえば勿論「物理の北山」という二つ名の通り、物理トリックの名手なのですが、今回のも素晴らしかったです。
特に1999年の事件での仕掛けなんか、やってみたくてたまらない。
図書館に行くたびに思い出してしまいそうです。
そして二段階オチの冴えるラストがまた良い。
綺麗なまとまりかたに脱帽です。