40.「ひぐらしのなく頃に礼 賽殺し編」竜騎士07 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

40冊目
「ひぐらしのなく頃に礼 賽殺し編」
竜騎士07



本編のエピローグ的なお話。



あまりに説明しようがないのでちょっとだけ本編のネタばらしをしつつストーリーを説明すると、



殺されるたびに、よりよい未来(=仲間達が誰一人として欠けることのない平和な未来)を作り直すため何度も過去(毎回戻った先の環境が異なるので厳密にいうと過去ではないけれど)へ遡ることを繰り返し、ようやく望んだ未来へ辿り着いた梨花は、初めて迎える昭和五十八年の夏を満喫していた。



しかし、交通事故にあい即死。



そして二度と使うことは無いだろうと思っていた力で、再び違う過去へとたどり着いてしまう。



そこでは、元いた世界へと戻ることも可能だと知り、その条件を満たすため行動しはじめる梨花。



しかし、その過去は長年体験した中でも最も異質な世界。雛見沢村はダムの底に沈むことが確定しているし、仲間たちとの人間関係はゼロに等しいほど疎遠になっていた。



原因を探る梨花はほどなく理解する。ここは誰も罪を犯していない世界だ、と。



元いた世界は確かに理想の世界であり、やっとのことで掴み取った素晴らしい世界だった。



しかし、圭一もレナも魅音も詩音も沙都子も悟史も、そして雛見沢村自体も、罪を犯し、そしてその十字架を背負いつつ生きている世界だった。



だが、この世界に限ってはそうではない。



自分にとっては確かに居心地の悪い世界だが、自分以外の誰もが望んでいたであろう、退屈ではあるが平和な日常がある。



そして、梨花にとっても、救うことを諦めた両親が生きている初めての世界。



仲間たちとも、今までとは違う形ではあるものの、新たな友人関係を築いていけそうな期待が沸き上がるに至って、梨花はどちらの世界を選ぶことも出来なくなってしまった。



しかし、元いた世界に戻るための条件には制限時間があった。刻一刻と過ぎ行く時間。



梨花の下した決断は…。




そうきたか、というのが第一印象。




本当にその結末が最善なのか?


本当にその世界が最高なのか?



梨花が選択を迫られている筈のその問いは、そのまま読者に跳ね帰ってくる。



読み手によっては不要な一編となりかねない(マイナスになる人も居るかも)このストーリーを最後に付け加える勇気がすごいです。


個人的にはあってよかったとおもいますが。