ニュースにて。
犯罪被害者遺族会とかからの提案で、殺人など重犯罪の時効を無くすことを上申。法務省も前向きに検討する方向、だとか。
前から気にはなっていたのですが、少し思うところがあるので語ります。
そりゃまあ、いいことだろうとは思います。
少ない数かもしれないけれど、解決できる犯罪の件数が増えることは間違いないでしょうし、現在逃亡中の犯人でもなければ反対する理由はありません。
ただし、それは現在の検挙率をキープできるならの話。
警察の捜査システムがどんなものなのか詳しくは知りませんが、当然現在管轄内で未解決の事件件数に応じて人数を割り振っているであろうことくらいは推測できます。
そして、いきづまりを見せている案件に対しては徐々に人数が減らされていき、何か新発見があれば人数が増強される、といった流れが一般的でしょうか。
さてそこで、先ほども軽く触れましたが、時効がなくなったとはいえども、現在の時効(殺人なら15年でしたっけ)以上の時間経過の後に犯人が検挙されることは稀なことだと思います。
つまり、警察ではこれまで以上に未解決事件を抱え込むことになるはずです(時効で捜査できなくなる事件がなくならないため)
となると、必然的に警察官の人数を増やさざるをえないことになります。
また、そうでなければ折角法改正をしても有名無実なものとなり、被害者遺族会もしくは支援団体の自己満足で終わってしまう。もしくは、各事件への人数分配にも事欠くようになり、解決し損ねる事件が増加してしまうことになります。(しかもその事件も時効がないとなれば更に人数不足に陥ります)
こうなることを防ぐためには、法務省への資金投入、つまり税金投入が不可欠です。(だからこそ法務省は前向きに検討しているのでしょうが)
未曾有の不況で、支持率の低下を防ぐため与党も野党も増税というフレーズに神経を使っている今日このごろ。増税するかまでは分かりませんが、他の省庁の予算が減る=何らかの行政サービスの質が低下するのは避けられません。
そこまでを戦略に組み込んで、被害者遺族会は、支援団体は、弁護士は活動しているのでしょうか。
もし、増税プランや法務省内での予算割り振り案まで考えているのならとてもすばらしいとは思いますが、そうでないのなら。
ただ増税しただけ。法務省の回し者だ。等の謗りを受け、一般庶民(本当にそんなものがあるのかはさておき)と対立の図式が出来上がりかねません。
だって、一般庶民のほとんどは、被害者遺族ではないし、今後自分だけは被害者遺族にならないと思っていますから。
私も身近では、亡夫の友人に家土地財産を根こそぎ奪われた親戚がいるくらいですし。
被害者遺族会ほど時効撤廃に意欲的であろうはずもありません。
この温度差がどうなるのか。どうもならなかった場合、骨抜きの法改正になっていないか。今後とも注目していきたいと思います。
以上、無責任雑記でした。