32.「ふちなしのかがみ」辻村深月 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

32冊目
「ふちなしのかがみ」
辻村深月



初のホラー系短編集。


ホラーというより怪談という方がしっくりくるかな。

花子さん・コックリさん・むらさきかがみ等小学生の頃に流行った学校の怪談がテーマになっています。



それはそうとこの本、店頭に並ぶまで全く発売したことを知らなかったという、ファンにあるまじき不覚。


しかも、新刊なのに一冊しか置いてないんでやんの。


たまたま気付いたからいいものの、スルーしてたらしばらく気付かないところだった。



この本発売と連動して、小説雑誌「野生時代」で特集まで組んでるのに、このアピールの無さは何なのだ?


たまたま近所の本屋が辻村深月を全く知らない人ばかりで、一冊仕入れてりゃいいかと思ったのか、(「凍りのくじら」の文庫版が発売された時に辻村深月フェアをやってたからそんなはずはないのだけれど)それとも角川書店側があんまりアピールしてなかったのか…。


ちょっとぉ…、しっかり売り込んでくれよなぁ…。



とか言いながらも、ドラマ・映画とかのメディアミックスで、ストーリーの魅力が半減した上、イケメンやアイドルの出演でしか話題にならないような売れ方はしてほしくないという、ファンの複雑な心理があったりするのだけど…。


具体的にいうと東○圭○とか伊○○太郎みたいなブレイクの仕方はちょっと嫌…。




それはさておき、感想。


一番面白かったのは「踊り場の花子」。

伏線もきっちりしてるし、オチも綺麗で、何より怖い。



その次によかったのが、「八月の天変地異」。


これはもう怪談というよりひと夏の不思議な体験、ていう感じかな。


辻村深月の真骨頂ですな。


で、いまひとつ解釈に困ってるのが「おとうさん、したいがあるよ」。


一応話としてはまとまってるものの、いまひとつしっくりこない。


他の作者ならば、高齢化社会に警鐘を鳴らすような作品、といえなくはない。(例えば歌野晶午とか←ある意味ネタバレ)


いえなくはないのだけれども、辻村深月著となるとこんな曖昧なオチというのに違和感がある。



そもそも、テーマになってる怪談が何かすらわからない。


しかもあからさまに伏線っぽい箇所がちらほらと…。


何か重大な見落としをしてるんじゃなかろうか…。


誰か分かった人、居ないっすか?