書評#3 ナイチンゲールの沈黙 海堂尊 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

『ナイチンゲールの沈黙』海堂尊/宝島社


『Bravo!』



シリーズ第2作。田口と白鳥が帰ってきた!
小児科看護師で病院内でも有名な歌姫である小夜。彼女が担当する患者は眼球の癌で摘出するしか方法はないが、未成年のため保護者の同意が必要となる。しかし唯一の肉親である父親は一向に病院にはあらわれず、挙げ句の果てに猟奇的な他殺死体となって発見される。不定愁訴外来の田口は小児科患者のメンタルケアを依頼されるが、アル中の女性歌手の緊急入院・取り調べの刑事達との折衝・その上前作の事件解決の立役者であるロジカルモンスター白鳥まで現れ病院は大混乱。しかも小夜の歌には秘密があって……

巧い。トリックと犯人は分かりやすいというか、隠す気なしなので謎解きの楽しみはないものの、病院内の描写はリアルの一言に尽きる。しかも登場キャラクター達がとてもいい味を出しているのでページをめくる手が止まらない。
ちょっとSF的な要素もあるのでそれが苦手だと不満に思うかもしれないけど。物語としての完成度が高いので問題なし。
話に聞くところによると三作目の『ジェネラル・ルージュの凱旋』(『螺鈿迷宮』は番外編なのでカウントしないとして)が一番評価が高いみたいなので、これはもう読むしかないでしょー!