ここに来てから、私は人としての感覚を失った。
人としての常識、習性。
むしろ、これが人の本質なのかもしれない。
あの日が私を変えた。
ゲームから一旦解放された今、街を歩く人々がより一層、騒がしく見える。
大学卒業後、私は最初に内定をもらった食品系の会社に就職した。
大学も行きたい理由があって行っていたわけではない。
この会社を選んだのも、会社に魅力を感じた部分があったのではなく、
駅から通いやすいというだけだ。
働き始めてから3か月で仕事は辞めた。
病院ではうつ病だといわれた。少し、休んだほうがいいらしい。
気力が湧かない。病院に行ったのも仕事を辞めて休みたかったのだ。
適当な症状を述べた。医者はそれを信じ、病名を与えてくれた。簡単だった。
会社を辞めてからは、コンビニでバイトをした。
朝早くに起きて仕事をする。私には意味が分からない。
働きたいときに働くことはできないのだろうか。
世の中、そんなに上手くいかないことはわかっている。
でも、大人になれない自分がいるのだ。
コンビニでバイトを始めたのも、時間に融通が効くからだ。
コンビニでバイトを始めて、半年後。
いつも通り、日付けの切れた弁当をカバンにいれ、家にかえった。
郵便受けを見ると、クレジットカードの請求書が入っていた。
毎月来る書類だが、この日は様子が違っていた。
宛名がない。印刷ミスだろうか。
私の家に届いた宛名なしの請求書を開けると、
毎月の決まったインターネット代などのほかに
「シャッフル・テスト」と書かれていた。金額は書かれていない。
身に覚えがない項目のある請求書に、特に興味を持たなかった私は、乱雑にその書類をゴミ箱に投げ捨てた。
この日から私の生活は変わった。