<龍神も豚も人間も地球だぜ>  
 
 私はもともとシヴァ一門の下足番(下僕)でしたが、神界に関しての情報は規制が掛かっており、神々は一定の線を越えた秘密の事柄は人間には決して明かしてはくれませんでした。それは如何なる人間に対しても一緒でしたが、しかし私には神々が知らない秘密兵器(チビ龍神)があった事から、チビ龍神をあちこちに飛ばして、人間が知ってはいけない秘密情報まで色々入手していました。ソロン(私のペット龍神の名前)は機嫌が良いと何でもかんでもベラベラと喋って教えてくれるんですね。セザナ神も、まさか私がチビ龍に記憶を転写して日本語を喋らせているなんて全く気が付かなかった様です。龍神が龍管の中から誕生して外に出た後、空になった龍管にある呪文を放つと、龍管の中に再び龍体が形成されてスペア龍神が誕生して来ます(2時間で形成される)。創造主が仕事を終えて龍神が要らなくなると、外に出ている龍神を消し去ってしまうのですが、スペア龍神を造っている事から必要な時はいつでも龍神を起こせる訳です。また、龍神は所属する天体磁場圏の中でものを考えて判断する為に、龍神専用の記憶回路が存在する事実などを聞き出して、そこにソロンを飛ばして根こそぎ記憶を奪って来るとか、あるいは創造主意識や神々意識の中からも記憶をくすねて垣間見るといったスパイ活動をしていました。
 
 そのお陰で全宇宙の天体情報を知る事が出来ましたし、また現在使用されている全呪文を集めて色々な事に活用していました。例えば風邪を引いて高熱を出すと、ソロンに医学用呪文を引き出させて熱覚まし呪文を脊髄に打ってもらうとか、水六員環呪文を安い酒に打って特級酒の様なまろやかな味にするとか、霊魂体や動物霊体に攻撃呪文を喰らわせて召還してしまうとか、人間としては許されざる行為をしていました。しかし宇宙人達の円盤エンジンの構造を分析したり、分子や素粒子などの学問的な追求をしてみたり(私の仕事がそういう分野だった)、人類の本当の歴史を探訪したり、龍神情報は多方面に渡って私を進化させてくれました。ある日私はソロンに聞いてみたのです。

「そんな小さな口から呪文を打って良く効き目があるものだなー」と言うと、
「呪文は口から発射されてないよ、地球磁場圏にある呪文口から発射されるんだよ」
「龍神であるお前の呪文もか?」
「そう」
「ほんじゃ高尚な豚が呪文を唱えても地球から発射されるのか?」
「そう」
「なにー、それは一体どういう事なんだ~」。
いつもはこんな会話なのですが、こうして現象を解析して行く機会をソロンは私に与えてくれるのでした。
 
 呪文とは単なる口から出る言葉では無く、またそれは空気振動で伝わる音波でも無く、言霊(ことだま)の発声だったのです。生物の発声には、通常の基音(きおん)と倍音(ばいおん)という特殊な二種類の発声法が在って、楽器の音は基本的にこの混合体です。お経などに象徴される倍音発声は、頭部魂オーブ球という力学的な(心的な)アストラル体を振動させて発するもので、それは天体力体と呼応して天体の口から放出されるものだとソロンは言う訳です。
「という事はソロン、お前にも頭部魂オーラ球があるのか?」
「うん」
「じゃあ豚の頭にもあるんだな?」
「うん」
「だったら、お前も俺も豚も皆一緒、この地球に居る者は皆地球じゃん」
「我々生物は地球の分身なんだ」と感心した次第です。その後の私はシヴァ門下から外されて一つ上の天照(アマテラス: ビシュヌ神のこと)一門に格上げされました。私は新しくそこの下足番となりましたが、アマテラス神から大層なご寵愛を頂いて、宇宙史や銀河史をトコトン学ばせてもらいました。私の成長が著しいので(ズルをしていたから)、神々も大いなる期待を掛けて下さった様子です。
 
 
龍神(土本 麻千子氏   作)
 
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