メタより



ペドリート
「ところでアミ、オフィルには、いくつの国があるの?」
「ひとつもない。文明世界だからね、オフィルは……」

「国がひとつもないって?………」
「ない。でも、しいてあると言えば、あると言えないこともない。オフィルというひとつの国がね」

「ふーん。じゃ、大統領は、だれなの?」
「大統領なんかいないよ」

「じゃだれが命令するの?」
「命令? 命令って、ここはだれも、だれにも、命令なんかしないよ」

「でも、じゃ、だれが組織するの?」
「うん、それなら話は別だ。でもここはもう、みな、組織化し終わっている。もしなにか特別なことがあった場合、賢者たちがその分野の専門家と集まって決定したり、コンピュー夕ーにインプットしたりする。でもじっさい、ほんの少ししかすることはない。みな、計画が立てられていて、機械がほとんどやってしまうからね」

「じゃみんな、何をするの?」
「人生を楽しく、充実して生きることだよ。楽しんだり、働いたり、勉強したり、奉仕したり、助けの必要な人を援助したり……でも、われわれの世界はたいていの問題は解決済みなので、主に未開文明の援助をするんだよ。でも、残念ながら、すべて"救済計画"の枠の中でしかできないので、あまり多くのことはできないけど。

たとえば"メッセージ"を送ったり、今、ぼくがやっているように、君のような人と直接"コンタクト"を持ったり、愛を説いている宗教の誕生を"助けたり"ね。砂漠で、"マナ(パン)"が、天から降ってきたの、知っているだろう?……(注―出エジプト記十六章参照、モーゼが、イスラエル人を、引きつれて、シンの荒野に入った時、神が人々のためにパンを天から降ろされたことをさしている)」

「じゃあれは、君たち宇宙人がしたことなの?……」
「そのとおりだよ。それからまた、ある文明が自滅していく時、高い度数を持っている人々の救済活動に参加したりとかね。……アトランティス大陸がどんなふうに沈んでいったか、それはまったく想像を絶することだったよ……

「爆弾のため?」
「うん。それと憎悪と苦脳、恐怖など、地球は人間のこれら否定的な放熱には耐えることができなかったんだ。もちろん、核爆弾の破裂はそれ以上にね。そして大陸全体が海の中へと沈んでいった。もし地球人が今変わらなかったとしたらそして原爆の作裂や戦争や不幸がこのまま続いて行ったら、地球はまた、そのうち耐えられなくなるだろうね。そうしたら、地球は前と同じようなことが再び起こらないとは誰にも言えないよ……」

「一度も考えてみなかったよ!」
「すべてみな、最後には、自分たちに跳ね返ってくるんだよ」

「そんなに重大な責任があるとは! ぼくたちに……」
「だからこそ、われわれは働いているんだよ」

「アミ小さな宇宙人」、エンリケ・バリオス、徳間書店
第9章 宇宙の基本法、p154~157、p163~164
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