みなさん、おはようございます。神界に佇立される現人神大塚寛一先生が昭和15年に発刊され、現在国会図書館で閲覧可能な大塚先生の著書「大日本精神」の原文ロニ写経版(本邦初公開)でございます。「心の眼」で拝読くださいませ。皆さまの心が神の座に戻られておられる大塚先生に通じますれば、素晴らしい体験があると確信しております。
神軍リクルーターロニサランガヤ


ときめきが続く、お花の定期便bloomee(ブルーミー)

 


②欧亜の情勢

欧洲の物質文化は正に崩壊せんとし世界の大動揺大混乱は人類未曾有(みぞう)の一大爆発を生ぜしむる前兆として、其の端(たん)は遂(つい)に昭和十一年スペインに勃発し欧洲は二派にわかれて大戦乱に陥らんとせし時、ヒットラーは英露の弱点を衝(つ)かんとして日本に接近し日独防共協定を成立せしめたる為(ため)、英露をしてその戦乱より退ぞくの已(や)むなきに至らしめ自己の慾望を全うせり。茲(ここ)に於(おい)て其の反動は英露をして支那を使嗾(しそう)せしめアジアを混乱に陥らしめたり。若(も)し其際(そのさい)英露に不安無からしめたれば欧洲はその時既に大乱に陥り、反(かえ)って日支は一兵を衂(ちぬ)らず莫(ばく)大の戦費を消耗せず、平和裡(り)に協和の実を挙(あ)げ得られたるならん。彼は又(また)天津事変を楔機とし日英国交険悪なるに乗じ、且(かつ)露満国境の風雲急なるに附(つ)け入り右に剣と左に利得を以って露に接し、自己の利益以外国際信義なき彼は防共協定を無視し、独ソ提携によって英を無血屈伏せしめんとせしが、英は日独の間隙(かんげき)に乗じ宣戦布告せり。今又ヒットラーは日本を利用し東亜に於ける英を圧迫せしめ、英の独に屈伏の已(や)むなきに至らしめんとしつつある。万一、英独和議成立の上は再び露英を策動してアジアに襲来せしむること明らかなり。独は自己の利害以外、如何なるものも犠牲にして顧みざる利己主義の権化なり。昨日の敵は明日の敵に非ず今日の味方必ずしも永遠の味方に非ず敵味方は道の順逆の上にのみ存す。道に闇くして敵味方に固執することは、悔を千載に残す恐れあり危うし危うし。 良将は山川草木を利して愚将を討つ。世界を敵とする者は自国も亦(また)統一し難し。これ即ち道に闇(くら)くして一切のものを善用し得ざるが故なり。

③指導者に対する希望

現今は政府の云わるる如く実に国家重大時局に逢着(ほうちゃく)し、国民は如何なる命令にも億兆一心に総親和総努力して、一言の不服なき国民の盛衰存亡は一に指導者の双肩にある。この責任の重大なる、死を賭(と)して戦う将士より重きことその比に非ず。故に重責を自覚して慎重(しんちょう)審議努力あり度(た)きものである。又これを推選する方も朝(あした)にきめ夕(ゆうべ)に替えるが如きことなく当初に充分審査して最高人物と目ざさるる方を選定し、その欠点は国民総努力を以って之を補佐(ほさ)すべきではあるまいか。素質如何なる達人と雖(いえど)も朝に定め夕に替えられては充分の活動を為(な)し得られざるは当然である。達人は永き努力の結晶によってのみ得られる。一旦(いったん)万人の最高人物と認めたる者が度々(たびたび)替わることは国家の不経済是(これ)より大なるはなし。優秀、世界に誇る日本丸を作り乍(なが)ら航海不慣(な)れのため羅針盤(らしんばん)を誤り時として難破顚覆(てんぷく)により国民の総親和総努力も水泡に帰するの恐れなしと云い難し。船内装飾整頓に如何程(いかほど)技巧を凝(こ)らすとも、完全なる羅針盤なくては無事彼岸に達し難し。特に今日の世界情勢は出(い)でて益々風浪(ふうろう)激しく暗礁多き航海に際し羅針盤たる指導者の撰択(せんたく)に優る重大事なし。然(しか)し我が国は幸にして一年半年にして入れ替わりしても推選するに足る人物あり、又受任する自信ある士の多きことは世界にその比を見ず、その点は実に心丈夫な次第であるが、この上(うえ)一層連続錬磨して尽忠(じんちゅう)の功を建ててもらい度(た)い。また欧洲には独裁政治による新興国あるも我国とは全く国状を異(こと)にする故、聡明(そうめい)神の如き明治天皇陛下に於かせられて尚(なお)万機公論に決せられそれを後世に命ぜられたのである。故に常人がこれに反し独裁的行動に出(い)ずる事は御遺訓(ごいくん)に対し奉り実に懼(おそ)れ多いことである。達人ならざる者の独裁政治は真の独裁政治にして破壊政治である。然し達人の独裁政治は、独裁政治に似て超議会政治であることを知らねばならぬ。若(も)し自国の真相を観破せずして他国の制度を模倣する時は恰(あたか)も病源を知らずして投薬するが如く、害あって益少なし。名医が脹満(ちょうまん)の大患を切開手術にて快癒(かいゆ)せしむるを見て素人は名医を模倣して姙婦を割(さ)くの恐れなしとせず。達人は座して万里の外(そと)に勝敗を決し、百年の計を樹(た)つること己が掌中(しょうちゅう)を指すが如くそれにして尚(なお)己が視界内の善事は農夫の一言と雖(いえど)も洩(もら)さず採用善処するものである。故に是れ以上の議会政治はあり得ないのであるが、一見我意を通せるが如く見ゆる所に常人の独裁政治と同一視せられるのである。然(しか)るに常人の独裁政治は他を顧みずして独断的行為に陥るものである。そこに収拾し得ざる国難を招来(しょうらい)し滅亡したることは史上に前例多し。恐るべきは達人に非ざる者の独裁政治である。




④統制に就(つい)て

統制は不合理を合理化すべく統制することを忘れてはならぬ。統制なき自由は自由に似て自由に非ず放縦(ほうじゅう)に陥り破壊滅亡の因(いん)となる。また合理化されざる統制は、一切の自由を束縛し死池に投ぜらるるが如し。真の統制は各独自の機能を充分発揮すべき所にのみ統制の価値あり。現代世界の欠陥は物を主として人を従とする所にある。

 物の統制は、人を充分活動し得(う)べく統制すべきではあるまいか。一億の脳裏には支那大陸の埋蔵物に勝(まさ)る宝庫なしと云い難し。倒れかけたる会社も社長一人の入れ替(かえ)で持直(もちなお)し、国家も一人の達人で隆盛となる。十七歳の孫権は寡兵(かへい)を以って百万の曹操を破る。富豪の家庭にも悲劇あり貧農の家庭にも平和あり、故に統制は人を主にせねばならぬ。


⑤教育に就て

 教育は各自の天分を充分発揮すべき所に眼目を置くべきではあるまいか。世界の歴史進歩は全部天分を充分発揮したる達人の力によるものである故、盆栽的教育により素質、神代杉の芽生(めばえ)を盆栽化せしめる事は、人類にとってこれ以上の損失はなし。 一人の英雄を生ぜしめる時、万人の豪傑を生む。国家も一人の達人の得失により存亡を生ぜしむることあり。教育は物質文化より出(いで)たる欧米教育の模倣にては完全なる教育は得難し。大日本精神による物心調和の教育によってのみ、その目的を完全に達成せしめ得るものである。



⑥支那問題

 一切万有は生盛衰亡の理を免(まぬが)れ難し。年に四季あり。場所にも盛衰の理を免(まぬが)れず。亜細亜(アジア)の精神文化は漸時(ぜんじ)西方に移動し西方の物質文化を生ぜしめ、今欧洲文化は爛熟(らんじゅく)崩壊に瀕(ひん)せんとし、米大陸を経て再び亜細亜に移りつつある。世の常として文化の爛熟国は常に半開国に滅(ほろぼ)さるを恒(つね)とする。ここ数年間にして日本の経済的躍進は全世界の関税障壁(しょうへき)を突破して至る所勝戦を収めつつあり。この原因の一つとしては生活程度の差によること尠(すくな)からず、更(さら)に支那を見る時その生活程度は日本の欧米に対するより大なる開きあり。又世界に類を見ざる偉大なる国民性の底流するもの有り。若(も)し支那の真相を観破せずして皮相観により対処する時は再び張作霖(ちょうさくりん)、冀東(きとう)政府、或(あるい)は蔣介石に対する失態も遠く及ばざる重大事を生ぜしむる恐れあり。経済的方面より視(み)るも支那は自然の物資豊富にして生活程度低く、而(しか)も人口多く忍耐勤勉にして訓練する時は技能の上にも日本人と敢(あえ)て異なることなくまた国家不統一のため個人主義の如く見ゆるも本性は純朴にして団結力強く経済的才能に至っては一般日本人の及ぶ所にあらず。故に其の国民性を充分考慮して摩擦なく、共存共栄せしむることは一に指導者の処置に俟(ま)つより他(ほか)なし。その計は今日に於いて樹(た)てざれば再び時機を得ること難し。

⑦結び

 亜細亜(アジア)に発生したる精神文化は孰(いず)れも綜合統一的に非ざるはなく、之に反して西洋文化は分析的科学文化にして今日の原則を以(もっ)て明日を計り難し。ために永遠に帰一す可(べ)き統一点なき文化により構成せられたる社会は、既(すで)に其の中に分解作用の因を蔵(ぞう)す、大は国家間の摩擦より小は個人間に至るまで何処(どこ)を見るも矛盾ならざるなく、自己を立つれば他を害し、他を立つれば自己亦(また)立つ能(あた)わず今日の優勝者は明日の敗残者となる。これ皆(みな)科学文化の当然帰結す可き所である。

 然るに東洋文化は、仏典に易経(えききょう)に其の他孰(いず)れの文化も

大自然の不変の法則によらざるもの無し。西洋文化は分解的にして東洋文化は綜合統一的である。分解は破壊滅亡の因となり、綜合統一は大同和の原動力なるが故に世界の混乱は亜細亜(アジア)文化によってのみ救済し得らるるも、西洋文化の進歩は其の程度に応じて益々混乱を深からしむるのみである。故に東洋文化の母体たる大日本精神に帰一せざるべからず。

                  大阪市西区西長堀北通三丁目一一

                      霊    源    閣

                      電話新町二九九一番

「大日本精神」(建白書)

大塚寛一先生