3出家ー絶対的な安らぎを求めて・・・④ | Yoga Bija

Yoga Bija

SERVE
LOVE
GIVE



ヨーガを愛する皆さんの生活の起点。
心の拠り所の【場】です。

こんばんは、ひろみです。

7歳の娘にこのブログを見せたら、「奉仕は大事だと思うけど、私はできないなぁ。」なんて意見。

そうかぁ。親子でヨーガの道、精進いたします。

 

サーダナ

 リシケーシにやって来たシヴァーナンダは、せめて雨をしのげ、神の名前を歌える場所があれば十分だと思っていました。しかし、修行の場所は、大勢の人びとや巡礼者がいるところからある程度離れていなくてはなりません。その結果、リシケーシの町から少し離れたコールガートというところを選びました。給食所は三キロも離れていましたが、雨の日も晴れの日も、四枚のチャパティとダールを貰うために往復しました。

 彼にとっては修行の時間がもっとも大切であり、少しでも怠けたり、無駄に時間を費やすことは苦痛でした。カーリカンリワーラーという布施所ではスヴァーミーたちに月に二度の割合で散髪のチケットを与えていたのですが、シヴァーナンダは散髪の時間も惜しくなり、髭は伸び放題になってしまいました。

 シヴァーナンダはやがて、コールガートからブラフマーナンダ・アーシュラムに移りました(ブラフマーナンダ・アーシュラムは現在のアーシュラムの近くにありました。)アーシュラムの部屋は荒れ果てていましたが、そこからはガンジス河や遠くヒマーラヤを見ることもできます。この頃のシヴァーナンダは、病人を治療するとき以外はまったく世間から離れ、頻繁に神秘体験を経験した時期でもありました。

 部屋の三方の壁は石を積み重ねただけのもので、大きな樹の枝が屋根の代わりをしているというような、決して充実した施設とはいえませんでした。虫や爬虫類もたくさんいます。シヴァーナンダはしかし、このアーシュラが大変気にいっていました。そこから二、三分も歩けばヒマーラヤの深い森で瞑想することができ、だれに邪魔されることもありません。

 友人たちとくだらないおしゃべりに耽るということは決してしませんでした。布施所に行くときもマウナ(沈黙の行)を守り、人と会わないようにジャングルの中の小路を歩きました。

 修行はしかし、自己本位な目的を達成するために行なわれるべきではありません。他人への奉仕もりっぱな修行の一部です。しかも人への奉仕は厳しく、決して楽なものではありません。ときには犠牲も伴います。

 彼はある日、栄養失調で弱りきったサードゥを見かけ、とても心を痛めました。そこで思い出したのが、マレーシアで働いていたときに蓄えたお金です。彼は早速手紙を出してお金を送ってもらい、身体の弱っているサードゥたちのために使いました。彼は薬や食べ物を入れた袋を担ぐと、病気や栄養失調で弱っているサードゥたちを助けて歩きました。袋を担いで人びとを助け歩くスヴァーミーはリシケーシの名物になりました。

 それを見ていたスヴァーミー・カイカラーナンダという聖者が、シヴァーナンダの中に病人に対する奉仕の精神が根本的にそなわっていることを見抜き、慈善的な施薬所をはじめてはどうかと提案しました。シヴァーナンダは快く受け入れ”サティヤ・セーヴァ・アーシュラム・ディスペンサリー”という名前ではじめられることになりました。

 シヴァーナンダは語っています。

「病気や貧しい人、聖者に奉仕することによって、心は純粋になります。それは憐れみや同情や寛大さを育ててくれ、エゴ、自己本位、憎しみ、怒り、プライド、嫉妬などをなくしてくれます。聖者や修行者や貧しい村人は薬を買う余裕がありません。そこでわたしは、聖地バドリナートに行く途中にあるラクシュマン・ジューラーで、小さな施薬所をはじめたのです。」

 聖地バドリナートへの道は非常に険しく、多くの危険を伴う巡礼者のために、彼はいつも薬を用意していました。(彼は一九三四年にスヴァルガ・アーシュラムを去りますが、この施薬所はかつて医師だったスヴァーミー・ジニャーニャーナンダに譲られました。)

 ある夜、バドリナートに行くという一人の巡礼者が訪ねてきてしばらく話をした後、薬を受け取って宿舎に帰って行きました。しかしベッドに入ってから、彼のために特別に調合した薬を渡すのを忘れていたことに気づき、それが気になって気になって仕方がありません。

 翌朝、まだ夜も明けないうちにその巡礼者が泊まっている宿舎に薬を持っていったのですが、すでにバドリナートに向かって出発したあとでした。シヴァーナンダは迷わず追いかけることにしました。しかし、行けども行けどもなかなか見つからず、結局何キロも追いかけてやっと薬を渡すことができました。夜明け前にクティールを出たのに、すでにもう九時を回っていました。その巡礼者は、薬を渡すために険しい道を何キロも追いかけて来てくれたシヴァーナンダに何度も何度もお礼を言いました。

 シヴァーナンダは語っています。

「常に奉仕する機会を見つけていなさい。決してその機会を見逃してはいけません。自分自身で人びとに奉仕する機会をつくらなくてはなりません。奉仕する機会を待つのではなく、つくらなくてはなりません。そして、どうかあなたの気質や能力や性格に合った方法で行ってください。奉仕は積極的でなくてはなりません。助けを必要としている人たちの中には時々それを拒絶する人もいますが、そのような場合は、求められることだけを行ってあげてください。」

 

愛と奉仕に生きた聖者の教え シヴァーナンダ・ヨーガ

成瀬 貴良 編訳

ひろみ