北大路魯山人 著
『鍋料理ほど新鮮さの感じられる料理はない。
鍋料理では決して煮ざましを食べるということはない。
クックツと出来たての料理を食べることが、
なによりの楽しみである。
最初から最後まで、
ことごとく自分で工夫し、加減をしてやるのであるから、
なにもかもが生きているというわけである・・・』
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池波正太郎 著
『底の浅い、小さな土鍋は、冬を迎えた私にとって、
「何よりの友だち⋯⋯」
と、なる。
魚介や野菜などを、この小鍋で煮ながら食べる(小鍋だて)では、さまざまなが変化をつけることができるので、毎夜のごとくつづいても飽きることがない。
中へ入れるものの種類は二品か、せいぜい三品がよい。
たとえば、小鍋に酒三、水七の割合で煮立て、浅蜊のムキミと白菜を入れて、さっと火が通
ったところを引き出し・・・』