途中からの人は1話から読んで頂けると非常に嬉しいです。






増本がダウンし、

僕1人で難波までのヒッチハイクを開始。


2時間が経過した頃、

1台の乗用車が停車しました。


そこに乗っていたのは30歳ちょいの男性。



「君、そこで何してんの?」


僕「実はヒッチハイクの旅をしてまして…」


「本当か?!君、いくつや?」


僕「18です、

高校の卒業旅行で来たんですけど…」


「君ら根性あるな!乗りぃ!」



急いで増本を叩き起こしました。



「車が捕まったぞ!」



難波に向かう車中で、

僕らは今回の旅のいきさつを全て話しました。



そして


「そんなわけで、

さっき十三の焼肉屋で580円の食べ放題に行ってたんです」



そこまで話をしたところで、

その男性は言いました。



「君ら面白いな!

そんな安い肉食べたところで力でぇへんやろ。

そんなんじゃなく、

オレがもっと良い肉をたらふく食べさせたる!」



そのいきなりの展開に戸惑い、僕は言いました。



「え?そんな、さっき会ったところなのに…」



するとその男性は言いました。



「こう見えても、

オレは電気屋の社長やっとんのや。

ちょうど知り合いの焼肉屋が改装中やから、

焼肉屋を貸し切りでたらふく食べさせたるわ!」



奇跡。


僕の人生の中でかなり上位の奇跡だったと思います。



そしてその男性は1本の電話を入れると


「OKみたいや。良かったな!」


と言い、

そのままその焼肉屋に直行してくれました。


着くとなるほど。


その社長の言葉がしっくりくるぐらいに、

THE・改装中でした。


あのビル工事中みたいな幕が店の周りを囲ってたんですね。


店に入ると、

恰幅の良いおじさんが登場し


「こいつらか!

ヒッチハイクで来た高校生いうんは!

改装するから余った肉がもったいないと思ってたところや。お腹いっぱい食べや!」


と言い、

本当にさっき食べていた食べ放題の肉とは比べ物にならないほど、

良い肉が大皿で次々に登場しました。


このウソみたいな事態に戸惑いはしたものの、

あまりの肉の旨さに歓喜しながら、

僕と増本は胃に入れていきました。


さっき食べた激安肉が少し胃に残っていたのが、

もったいないと思うほどでした。



お腹がいっぱいになり、余韻を楽しんでいた頃、

その社長さんは言いました。



「お前ら、多分泊まる所もないんやろ?

じゃあ今日はオレの家に泊まっていき。

遠慮はすんなよ。

ただ、新婚やからウチの嫁を好きなったらあかんけどな」



そうして、僕らはその日、

その社長さんの家に泊めてもらう事に。


家に着くと、

さすがに奥さんは


「この子達、どうしたん?」


と驚いていました。



僕らが経緯を説明すると、

再び驚いていましたが、


「そういう事ならゆっくりしていきや」


と受け入れてくれました。



厚かましいながらもお風呂も頂き、

久しぶりにサッパリ。



「こんなにしてもらっていいのかな…」


と思いながらも


「本当に良かったな…」


と増本と喜びを分かち合いました。




お風呂の後は、僕らと社長さん夫婦4人で


『踊る!さんま御殿!!』


を見ながら談笑していましたが、

番組の途中で僕は力尽き寝てしまいました。




続く



次はいよいよ全員集合。


その前に増本のクソ提案が炸裂します。