10年近く前にあげたブログですが、

ちょっと加筆修正して、再掲です。



全てノンフィクションです。



高校3年生の頃、

部活を引退して時間をもてあましていた僕は、

6人で企画をたてて遊ぶようになり、

その集団はクラスメイトから『底辺』と呼ばれていました。



構成員は


僕(砂川。立ち上がった企画を実行にうつす)


増本(企画の大半を立案するバラエティ大好き人間)


早川(バンドのボーカル。普段おとなしいくせに突発的に変な行動をとる)


ギャロ(メンバーで1番社交性もありしっかりしているが、いじられ役。イケメンに憧れる)


というレギュラーメンバーの4人。



そして


大重(現夜ふかしの会。たまに確変に入る)


ピーチ(空手部。筋肉質だが6人のうちで1番ウェデングドレスが似合うとされている)


という準レギュラーの2人の計6人。



人に話すには長いけど、

残しておきたい想い出の1つなので、

ここで紹介させて頂きたいと思います。




これは高校の卒業旅行のお話。



もうそろそろ卒業を控えた2月後半の夜。


僕達はいつも通り、

早川の家に集まっていました。


この頃の僕らは、

少なくとも僕は週3、4日、

早川の家に泊まって、

そのまま学校に行くのが習慣となっていました。



そんなある深夜の雑談から始まります。



僕「もうそろそろ卒業だな」


ギャロ「だな。やっぱ卒業旅行とか憧れるべ」


増本「やっぱり行った方がいいでしょ」


大重「でもどこ行く?」


ピーチ「食い倒れって憧れない?」


早川「じゃあ大阪か。行けたら楽しそうだな」


増本「どうせ行くならさ。2人ずつでチーム分けて。

大阪までの交通費が1番多かったチームが、

その日の夜の食事をおごるとかどうかな?」


全員「そういうの楽しいな!」



その日はそんな感じで盛り上がりました。



そして翌日、学校の昼休み。


僕は増本に言いました。



「昨日の大阪の話。どう思う?」



すると増本から


「砂に任すよ」


との返答。




「って事は、お前はOKなんだな」



僕が言うと、

増本はニヤニヤ笑っていました。


そうなると話が早い。


その日の帰り道に単身、本屋に寄り、

旅行雑誌から安い宿を探しました。



そしてまた翌日の朝、メンバーに言いました。



「この間の卒業旅行の話。

3月8日に6人で大阪のホテルとっておいたよ。

もし行かないってなっても、キャンセル料かかるからよろしくね」



そうです。

勝手に電話をしてホテルを予約したのです。



もちろん、

なんとなく予想していた増本以外は騒然となりました。



大重「まさか本当になるとは」


ピーチ「早かったね」


早川「もう行くしかないでしょ」


ギャロ「マジかよ。ゲロゲロ~」



そして増本が発言していた



『大阪までの交通費が1番多かったチームが、その日の夜の食事をおごる』



この案を採用する事にしました。


そしてチーム決めはどうしようかという相談に。



ピーチ「ここはグッチョッパかな」

   (チーム決めのジャンケンの事です)


僕「このチーム分けは大事だな」


ギャロ「大重とは一緒になりたくねえな~」


大重「なんだよ。オレだって、ギャロは嫌だよ」


ギャロ「オレの方が嫌だよ」


早川「オレはお前達、両方嫌だよ」



そんな会話が続いている時、

増本は言いました。



「卒業旅行なんだし想い出作りに、

ここは担任のM先生に決めてもらうことにしよう」


みんな、

そんな事が可能かと首をかしげました。



増本はオレに任せろの一点張りでしたので、

じゃあ増本に任せてみようという流れに。



その日の昼休み。


増本から声をかけられた僕は、

職員室にいるM先生に一緒にお願いに行きました。



増本「すいません、先生。

僕と砂川、早川、ギャロ、大重、ピーチ。

この6人で2人ずつにチーム分けをして欲しいんです。

そしてできたらでいいのですが、

チームカラーを決めて、

クラスの皆の前でいきなり発表してほしいのですが」


M先生「なんだ、それ。

なんか変な事になるなら嫌だぞ」



そりゃ、そうですよね。


いきなり訳のわからないお願いされたわけですから。


僕にしても『チームカラー』の提案は、

この場で初めて聞きました。



増本は続けます。



「いえ、別に変な事にはなりません。

ただ僕らでは決めかねたもので。

できたらでいいのですが、何の説明もなく、

いきなりチーム発表をしてくれたら嬉しいです」



それを伝え、その場を去りました。



僕「あれでうまくいくのか?」


増本「ダメだったら、オレらの中で決めるしかないけど。多分、M先生なら大丈夫だろ」



その旨をメンバーに伝えて、

数日後の3月3日。


卒業式の前日。



M先生はクラス全員に呼びかけていました。


「明日でみんは卒業するわけだけど・・・」


そんな話の流れで、

その瞬間はいきなり訪れました。



「それではチームを発表する!」



これにはメンバー全員、

お互いの顔を見合わせました。



「まず増本と砂川チーム。カラーはオレンジ。

そして早川とギャロ。カラーは紺。

最後に大重とピーチ。カラーは黄色」




僕らはM先生の粋な計らいに感動していましたが、

意味がわからないクラスメイト達はざわついていました。



『M先生に伝えた名前順、

学年ごとのジャージの色に分けただけじゃねえか』


という事はもちろん底辺メンバーも感じたところでしたが、そんな事は口にせず。


ここからはもうチーム同士の戦いの始まりです。



先生のありがたい話が終わった後、

すぐさま僕と増本チームの作戦会議は始まりました。



僕「交通費が少ない方がおごってもらえるという事は…

普通に行ったら新幹線だけど…どうする?」


増本「それじゃ勝てないだろ」


僕「夜行バスでも…」


増本「勝てないだろ」


僕「じゃあどうする?」




増本「…ここはヒッチハイクかな」



僕「0円なら、まず優勝か」


増本「それしかないな」



こうして僕らのチームはヒッチハイクで大阪に向かう事が決定。



今振り返れば、

よく当然のようにこんな案を即決したなとは思いますが、

電波少年の流れ、

さらに若さゆえの無謀さとエネルギーがあったのでしょう。



そして帰り道。



2人で本屋に寄り、地図を眺めました。



そして学校近くのファミレスに入り、

協議の結果、


『ヒッチハイクするなら高速の入口が良いに違いない』


という結論が出ました。


比較的お互いの家から近いところに高速の入り口があるという理由で海老名駅がターゲットに。



さらに


『ヒッチハイクがすぐ成功するとは限らない』


という予想のもと、

少しでも早めに出た方が良いという事になり



『卒業式の翌日、3月5日。

朝の10時に海老名駅』



それだけを取り決めて、

ドキドキしながら僕・増本チームは明日を待つのでした。



(続く)