ケーブルの公称断面積と仕上り外径について解説します。


ケーブルの公称断面積と仕上り外径は、単心(1C)のケーブルだとわかりやすいのですが、3CのケーブルやCVTなどのトリプレックス型のケーブルだと、1Cあたりや1本あたりの断面積のことを言ってるのか、それとも3C全部まとめた断面積なのか、仕上り外形はCVTの場合、1本あたりなのか3本まとめた場合の外径なのかなど、様々な疑問が湧いてくるかと思います。



よくある間違いとして以下のようなものがあります。

・100sqのケーブルは直径が100mm(10センチ)

CV100sqとCVT100sqは仕上り外形が同じ

・公称断面積はケーブルの仕上り外径から求められる


これらは全部間違いなのですが、それらも含めて、わかりやすく解説したいと思います。



公称断面積とは?


公称断面積は導体の断面積で通常sq(スケア)で表されます。
導体の断面積である点に注意で、絶縁体やシースは含まれていません。
なので、CV 100sq-1Cというケーブルがあったとしたら、ケーブルの断面積が100mm2なのではなく、導体の断面積が100mm2ということになります。

↑CV-1Cの場合の公称断面積


CVTやCV-3C、CVQの場合は導体1本あたりの断面積となります。(実際には撚り線のため複数の素線から構成されますが、ここでは上記のイラストの一つの円形としてみれる茶色の部分を1本の導体と表現しています)


そのため、ここが間違いやすいのですが、CVT 100sqやCV 100sq-3Cの場合は断面積が100mm2の導体が3本あるということになります。

↑CVTの場合の公称断面積

↑CV-3Cの場合の公称断面積


よって、同じ100sqでも、CV 100sq-1CとCV 100sq-3Cではケーブルの太さは全然異なります。どちらも導線の太さは同じなので許容電流は若干近しい値にはなってますが、許容電流は導体の太さだけの要素で決まるものではないので、そこは注意が必要です。確かに許容電流の値は近しいですが、3Cは同じシース内に3つの芯が入ってるため、1Cと比べ許容電流は小さくなっています。


仕上り外径とは?

仕上り外径はシースも含めたケーブルの外径となります。
絵でたほうがわかりやすいと思うので、CV 100sq-1Cの場合とCVT 100sqの場合の例を示します。

↑CV-1Cの場合の仕上り外径

↑CV-3Cの場合の仕上り外径

↑CVTの場合の仕上り外径





つまり、CVTの仕上げ外径については、3本分の外径となりますので、外接円の直径となります。
先程の公称断面積については、1本分の導体の断面積を言ってましたが、仕上り外径については3本分になるため注意が必要です。


公称断面積、仕上り外径、許容電流の例


同じ公称断面積のケーブルを例に、それぞれの導体の外形、仕上り外径、許容電流の例を示したいと思います。


600V CVT100sq
導体の外径は12mm
仕上がり外径は41mm
許容電流は290A


600V CVQ100sq

導体の外径は12mm

仕上がり外形は46mm

許容電流は290A


600V CV 100sq-3C 

導体の外径は12mm

仕上がり外径は40mm

許容電流は260A


600V CV 100sq-4C 

導体の外径は12mm

仕上がり外径は44mm

許容電流は260A


600V CV 100sq-1C 

導体の外径は12mm

仕上がり外径は37mm

許容電流は355A

600V CV 100sq-2C

導体の外径は12mm

仕上がり外径は37mm

許容電流は310A



6600V CVT 100sq

導体の外径は12mm

仕上がり外径は57mm

許容電流は265A




このように見ると、同じ100sqでもケーブルの太さ(仕上り外径)は全然違う事が分かるかと思います。


CVT100sqとCV 100sq-1Cは同じ100sqでも、仕上がり外径は全然違います。


CVTは3本分の外径であり、CV-1Cは1本分の外径です。あくまで、導体1本あたりの断面積が同じというだけになります。


しかし、導体1本あたりの外径が同じなので、若干許容電流が近しい値にはなっています。

もちろん、導体の外径は許容電流を決める一要素に過ぎないので、それだけで許容電流が決まるわけではないことには注意が必要です。


また、CVT100sqとCV 100sq-3Cは導体1本あたりの断面積だけでなく仕上がり外径もほぼ同じになっています。 若干CVTのほうが仕上がり外径が大きいですが、ほぼ変わらないと言っていいでしょう。許容電流もCVTのほうが大きくなっています。外径がほとんど変わらずに許容電流が大きくなっていることが、CV-3CよりもCVTが好まれる理由の一つです。




単線の場合の電線サイズの表し方



電線のサイズは基本的に、公称断面積としてsq(スケア)やmm2で表しますが、単線の場合は異なります。

(※単心ではなく単線である点に注意  単線とは導体が1本の導線から構成されているものを言います。逆に撚り線は複数の導線を撚り合わせたものを言います。)


↑導体が撚り線のケーブル 1本ではなく複数の導線で導体が構成されている



単線はmmで表し、より線はsqもしくはmm2で表すのがルールとなっています。

先程のCV-1Cは導体がより線であるため、100sqなどのsqやmm2の単位を使用しています。

なので、先ほど、公称断面積は1本の導体の断面積と言いましたが、実際には撚り線であり、複数の導線から構成されているため、厳密に言うと1本という表現は正確ではありません。1本の導体といいつつも、100sqなら実際には19本の素線で構成されています。



VVFケーブルで使用される太さのものは単線がメインであるため、VVFケーブルのサイズは以下のように表されます



VVF 1.6mm

VVF 2.0mm

VVF 2.6mm


公称断面積ではないのでsqやmm2という単位を使わない点に注意が必要です。


逆にVVF5.5SCや8sqのように、VVFでも大きさによってはsqやmm2で表されます。


もう少し具体的に言うと、太い単線は折り曲げが困難となるため、2.6mmより大きいものは、撚り線となります。



単線と撚り線については使い分けるというよりは、太さによって決まってくるイメージですので、設計者や施工者側で単線か撚り線かを気にして選定するということはあまりないかと思います。






まとめ
・公称断面積はsqやmm2で表され、導体1本あたりの断面積を意味する。例えばCVT100sqでもCVQ100sqでも導体1本あたり100mm2である。

・仕上り外径はシースも含めたケーブル全体の外径であり、CVTなら3本分の外形となる。



高圧ケーブルの構造についてはこちら↓


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