内線規程とか国交省監修の「建築設備設計計算書作成の手引」などを読むとやり方が書いてるんだけど、最初は読んでも頭に入ってこないよね。
まずは計算の流れを言葉だけで説明するけど、ここは聞いてもよくわからなかったら、そうなんだ~くらいに思ってもらえばいいよ。後半で具体的な計算例を示すから、時間がない人は、そっちだけ読んでみてね
※分岐回路の配線や分岐遮断器の選定については、下記の記事参照
https://ameblo.jp/yoda-denki/entry-12865040706.html
単相3線式の幹線の場合の計算の流れ
1.設計負荷電流電流の算出
設計負荷電流とは、設計上、電路に流れる電流のことで、単相3線式の場合、以下の式にて算出する。
I=((L1N又はL2Nのうち大きい値)/100 )+ (L12/200)
I:設計負荷電流
L1N:L1〜N間の電灯負荷容量合計 VA
L2N:L2〜N間の電灯負荷容量合計 VA
L12:L1〜L2間の電灯負荷容量合計 VA
単相3線式は3本線のうち、L1とNまたはL2とN間の電圧を取れば100V,L1とL2間の電圧を取れば200Vと、100Vも200Vも両方取れるようにした配線方式で、住宅を除き、施設などでは一般的に採用されている方式である。
100Vの負荷については、例えば、L1NよりL2Nに多くの100V負荷を接続すれば、L1に流れる電流に比べ、L2流れる電流が大きくなる。
その場合、L2に流れる電流値に合わせて、3本の線のサイズが決まるため、L2に流れる電流値が設計負荷電流ということになる。
よって、L2Nを100Vで除することにより、L2に流れる100V負荷の電流値を求めることができ、そして、200V負荷の電流については、L1とL2に均等に流れるため、L12を200で除することにより、L2に流れる200V負荷の電流値(=L1に流れる200V負荷の電流値)を求めることができる。
以上が、上記の式の考え方だが、L1-N間とL2-N間に100V負荷を均等に配置すれば、基本的には、L1もL2も流れる電流はほぼ同じになるため、実際の計算では、簡略式として以下の式を使うことも多い。
(L1+L2+L12)/200
2.幹線保護用遮断器の定格電流の選定
(省令第63条、電技解釈第148条、内線規程3705-8)
省令第63条より、低圧幹線の電源側には、その電線を保護するために過電流遮断器を設置することが義務付けられてる。具体的には受変電設備内に設置する送り出しのブレーカーということ。
先ほど算出した設計負荷電流以上の定格電流の遮断器を設置する。
(分電盤の主幹ブレーカーは任意ですが、受変電設備の送り出しのブレーカーは法的に必須であることに注意)
3.幹線保護用遮断器の定格電流から、電線サイズを選定
幹線保護用遮断器の定格電流以上の許容電流を持つ電線サイズを選定する。
例えば遮断器の定格電流が50Aの場合で、許容電流が50A以下の電線を選定してしまうと、その電線に45Aなどの過電流が流れてもブレーカーが落ちないから、電線に許容電流以上の電流が流れ続けてしまうからね。
最悪の場合、ケーブルが燃えて火事になるし、焼損まではいかない場合でも、熱の影響で絶縁体の劣化の原因になってケーブルの寿命を縮める可能性があるよ
なお、許容電流は周囲の温度が高かったり、隣接するケーブルがあったりすると、当然そのケーブルからの発熱もあるため、周囲温度上昇により、ケーブルの許容電流は低減する。
例えばケーブルラック配線の場合は、周囲に多数のケーブルがあることにより、周囲温度があがるため、許容電流が下がる。逆に地中線路の場合は、気中よりも周囲の温度が低いため、許容電流は気中と比べ高くなる傾向にある。
またケーブルが断熱材で覆われてる場合は許容電流が極端(半分くらい)に低減する可能性がある。(詳細は下記の日本電線工業会の技術資料参照)
https://www.jcma2.jp/files/gijutsu/Shiryo/121A.pdf
上記は建築設備設計基準からの抜粋であるが、CVT38sqの許容電流を調べたいときは、一覧表のCVD38sqの許容電流の値を参照しても良い。
なぜなら、単相3線式の場合、CVTの3本の電線のうち、1本は中性線になるため、基本的にはそこには電流は流れない。そのため、中性線からは発熱がなく、他の電線に影響を及ぼさないため、許容電流的には実質CVDとして使用しているのと同じ状態になるからである。
幹線分岐がある場合は、分岐点より3m以内に遮断器を設置しないといけないことが電技に定められているが、分岐の幹線の太さを一定以上にすることで、分岐点の遮断器が免除されるため、幹線分岐がある場合は、それも考慮して電線サイズを選定する。
計算例にて後ほど解説するが詳しくは内線規程1360-10を参照のこと。
4.選定した電線サイズにて、電圧降下を計算し許容値に収まっているか確認 (内線規程1310-1 資料1-3-2)
許容電流的には問題なくても、電線の太さが細いあるいは電線のこう長が長くなる場合、電線のインピーダンスが大きくなり、電圧降下が発生するため、電圧降下が許容値以下に収まっているか確認する。
電圧降下の許容値は以下のようになる
電圧降下が許容値より大きいと、機器が正常に動作しない可能性がある。
配線が敷設し終わったあとに機器が動作しないことに気づき、配線の太さを変え、再度敷設し直すということも実際に起こっているので、特に距離が長い場合は電圧降下の計算には注意を払う必要がある。
電圧降下の計算式は以下のようになる。
e=K×I×L×(RcosΘ+XsinΘ)/1000
e:電圧降下 V
K:電気方式による係数(単相3線:1 三相3線:√3)
R:電線1kmあたりの導体抵抗 Ω/km
X:電線1kmあたりのリアクタンス Ω/km
cosΘ:力率
sinΘ:√(1-cosΘ²)
力率は建築設備設計基準を参考に単相の場合、0.95とする場合が多い。
(RcosΘ+Xsin)の部分については、建築設備設計基準やメーカーの技術資料に力率ごとに計算された数値が載っているため、それをそのまま使う例が多い。
計算した結果、もし、電圧降下が許容値に収まらない場合、サイズをワンランクあげて、再度電圧降下を計算する。
三相動力幹線の場合の計算の流れ
1.設計負荷電流の算出
↓
2.電線サイズの選定
↓
3.幹線保護用遮断器の選定
↓
4.選定した電線サイズにて、電圧降下を計算し許容値に収まっているか確認
1.設計負荷電流の算出
三相動力の場合、負荷容量は、負荷容量(kVA)、消費電力(kW)、出力(kW)の3つの表し方があり、メーカー側から3つのうちどれか一つを示される事が多い。
消費電力と出力は単位がkWで同じため、それらを混合している設計者も多いが、出力はモーターの軸動力のことであり、正しくは消費電力×効率=出力となる。また、消費電力/力率=負荷容量(kVA)となる。
たまに、出力を力率で除して負荷容量を算出する人がいますが、正しくは出力/力率×効率=負荷容量(kVA)となる。
負荷容量(kVA)や消費電力(kW)の場合は、以下の式にて、設計負荷電流を算出する。
I=負荷容量(VA)/√3×200(V)
出力(kW)の場合の設計負荷電流は、メーカーに確認するか、内線規程の3705-1表「200V三相誘導電動機1台の場合の分岐回路」にて、各出力値ごとの全負荷電流(定格電流)の参考値が載ってるため、それを参考に設計負荷電流を求める。
※80kW以下の電動機は、汎用品であるため、基本的に
該当する出力と同じものが内線規程の表にあることが多い。
2.電線サイズの選定
三相動力の場合、電線サイズを求めるにあたり、始動電流を考慮し設計負荷電流を補正し、その値以上の許容電流を持つ電線を選定する。
具体的には、以下のようになる。
①その幹線に接続する電動機の定格電流の合計が50A以下の場合は、その定格電流の合計の1.25倍
②その幹線に接続する電動機の定格電流の合計が50Aを超える場合は、その定格電流の合計の1.1倍
本当は3-6倍ともっと大きいけど、いわゆる短時間許容電流(似ているが短絡時許容電流ではないことに注意)という、電動機の起動時や運転切替時, 事故時などで事故線以外の線路に短時間だけ常時許容電流を超えて過負荷通電を行うことを許される電流値を考慮したもので、始動電流は短時間しか流れないから、ケーブルの場合はこれくらい考慮すれば耐えられるんだよ。遮断器の場合の始動電流の考慮の仕方は1.25倍というわけではないから、それも今から解説するね。
3.幹線保護用遮断器の定格電流の選定
三相動力の遮断器の定格電流は始動電流を考慮し、大きめのものを選定する必要がある。過電流遮断器は多少の過負荷電流なら、瞬時に動作せず数分間たってから動作するようになっているが、始動電力は定格電流の3-6倍、大きいときには10倍以上にもなるため、遮断器がすぐに動作してしまう可能性がある。
そのため、幹線保護用遮断器の定格電流は、負荷の特性を考慮する必要があるため、正確に調べるには各負荷のメーカーに確認する必要があるが、直入れ始動及びスターデルタ始動については内線規程の3705-3表「200V三相誘導電動機の幹線の太さ及び器具の容量」に参考値が載っているため、それにより選定をするのが一般的である。
↑200V三相誘導電動機の幹線の太さ及び器具の容量(内線規定より抜粋)
※先ほどは分岐回路の表だったが、こっちは幹線の表であることに注意
インバーター始動の場合は、内線規程の表は適用できないため、メーカーに確認する必要がある。
(インバータ始動の場合、基本的に始動電流が問題とならなくなる)
とりあえず内線規程の3705-3表を見れば遮断器の定格電流わかるんですね。
そういえば、単相の時は、遮断器の定格電流を求めてから、それより大きな許容電流を持つサイズのケーブルを選定してましたが、三相動力の場合、遮断器の定格電流よりもケーブルの許容電流を大きくしなくて大丈夫なんですか?
ブレーカーが遮断してくれず最悪焼損するんじゃなかったんでしたっけ?
いいところに気づいたね。確かにこれだと遮断器が短絡に関しては効果あっても過負荷に関しては期待できないかもだよね。
でも、単相のときはと同じ考えを動力に適用すると電線が太くなりすぎて非経済的なんだ。だから、三相動力の場合、電動機ごとに分岐回路を設けて、サーマルリレーなどを設置し、過負荷保護を行っているので、幹線保護用遮断器は短絡に対してのみ考慮すればよいとの考えなんだよ。
とはいえ、大きすぎてもだめで、遮断器の定格電流は、始動電流により動作しない定格のものでかつ、電動機の定格電流の3倍以下とする必要があるから注意ね。
4.選定した電線サイズにて、電圧降下を計算し許容値に収まっているか確認
基本的には単相の場合と計算の仕方は同じである。
注意点としては、設計負荷電流は、始動電流を考慮した補正した電流値ではなく、補正前の電流値で計算行うということである。
また、力率は建築設備設計基準や内線規程の資料3-7-1「一般用低圧三相かご形誘導電動機の全負荷特性」を参考に0.8とすることが多い。
計算例
例1
単相3線式の単独幹線の場合で、ケーブルラック及び電線管使用の場合
【諸条件】
・配線方法
横引きはケーブルラック 盤への立ち下げは金属管
・こう長
60m
・ケーブルの種類
EM-CET
・分電盤容量
7.3kVA
・基底温度(電線が敷設されてる環境の温度)
30℃
1.設計負荷電流の算出
まず、設計上、どれくらいの電流が流れるのかを算出する。
単相負荷電流=負荷容量(VA)/電圧(V)
例えば受変電設備〜分電盤1L-1の幹線の設計負荷電流を求めたい場合、分電盤の容量が7.3kVAだったら、
設計負荷電流は7300/200=36.5Aとなる。
つまり、受変電設備〜分電盤1L-1の幹線には、設計上、36.5Aの電流が流れるということになる。
2.幹線保護用遮断器の選定(電技第63条、電技解釈148、内線規程3705-8)
電技解釈148より、低圧幹線の電源側には、その電線を保護するために過電流遮断器を設置することが義務付けられている。
受変電設備〜分電盤1L-1の幹線には、設計上、36.5Aの電流が流れることがわかったため、36.5A以上の定格の配線用遮断器を選定する必要がある。
よって幹線保護用遮断器の定格電流は36.5A以上の直近上位である50Aとする。
(50ATのMCCBを選定する)
3.配線サイズの選定
50ATの遮断器を選定したため、50A以上の許容電流を持つ電線を選定する必要がある。
配線サイズは、ブレーカーの定格電流以上の許容電流を持つものを選定するため、今回の場合、50Aより大きい許容電流をもつサイズのケーブルを選べばよいということになるが、配線の敷設方法によって許容電流は変わるので、そこは注意が必要である。

例えばEM-CET14sqの許容電流は91Aとなります。
(EM-CET14sqの許容電流は86Aですが、これは3相3線式の場合の電流値であり、単相3線式の場合はCEDの許容電流似の値をとる。)
しかし、ケーブルラックに他の電線といっしょに当該配線を敷設した場合は他の電線からの熱の影響で周囲温度が上昇するので、91Aより許容電流が少なくなり、50A以上という条件を満たすとは限らない。
ケーブルラック配線の場合の低減率を0.7とすると、
91A×0.7=63.7となり、50A以上となったため、
EM-CET14sqで問題ないことになる。
※温度が30度なので補正をしても良いですが、気中なら、一律に40度として計算することが一般的である。
※今回の場合、一部配管も使用していますが、ケーブルラック敷設として計算したほうが安全側なので、ケーブルラック敷設として計算を行った。
基本的には、一部ケーブルが密集する場所(例えば分電盤へのたち下げ)などがある場合、許容電流は原則として、一番条件が悪い部分で算出するため、そこに合わせて計算する必要がある。例えば100mのうち5m程度、ケーブルが密集していて、許容電流を満たしていない場所があった場合、そこの部分の熱放射性が落ちるため、例え5mであったとしてもケーブルの劣化や焼損の可能性がある。
4.電圧降下の確認(内線規程1310-1 資料1-3-2)
幹線+分岐の長さが60m以下の場合、電圧降下の許容値は幹線3%以下、分岐2%以下となる。
EM-CET14sqの場合、電圧降下が、3V以下になっているか確認する。
3%というのは、単相の場合、100V回路でも200V回路でも、3Vである点に注意すること。200V回路であっても、3%は6Vとはならず、単相である限り3Vとなる。
計算式は先ほども記載したが以下となる。
e=K×I×L×(RcosΘ+XsinΘ)/1000
e:電圧降下 V
K:電気方式による係数(単相3線:1 三相3線:√3)
R:電線1kmあたりの導体抵抗 Ω/km
X:電線1kmあたりのリアクタンス Ω/km
cosΘ:力率
sinΘ:√(1-cosΘ²)
今回の場合、単相なので力率は0.95とする。
EM-CET14sqで力率0.95の場合の
インピーダンスの値(EM-CET14sq)は、建築設備設計基準の表より1.66となるため、上記の式に値を代入すると、以下のようになる。
1.66Ω/km×60×10-3 km×36.5≒3.63V
計算結果より3V以下にならなかったため、直近上位の配線太さであるEM-CET38sqを選定する。
例2
単相3線式で、幹線の途中分岐ありで、電線管主体の場合
【諸条件】
・配線方法
電線管主体
・こう長
分岐前30m 分岐部分 5m及び10m
・基底温度
40℃
・負荷容量
L-1:20kVA
L-2:30kVA
・ケーブルの種類
EM-CET

1.設計負荷電流、幹線保護用遮断器、配線サイズの算出
幹線分岐部分〜分電盤1L-1の設計負荷電流は20000VA/200V=100A
幹線分岐部分〜分電盤L-2の設計負荷電流は、30000VA/200V=150A
設計負荷電流は100+150=250A
よって、分岐前の幹線を保護する過電流遮断器の定格電流は、250Aとなる。
分岐点から過電流遮断器にいたる分岐幹線の長さは、原則3m以内と定められている。これは3m以内という短い距離で短絡事故が発生する可能性は限りなく低いと考えているからである。(電技第56.57.63条、電技解釈149条、内線規程1360-10)
よって、今回は分岐後の配線の長さが3mを超えるため、図中のA点、B点にそれぞれ、分岐後の幹線を保護するための過電流遮断器を設置しないといけないが、今回は、緩和できる規定を適用することにする。
緩和できる規定
(1)電線の許容電流が、その電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の55%以上である場合
(2)電線の長さが8m以下であり、かつ、電線の許容電流がその電線に接続する低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の35%以上である場合
(1)の場合、55%以上あれば幹線側の遮断器で分岐後の配線も十分保護できるためであり、(2)については8mという短い距離で短絡事故が発生する可能性は少ないため35%以上と緩和しており、(1)ほどでないにしろ電線を損傷させない程度の保護は可能である。
今回は(1)を適用し、分岐後の幹線の太さを幹線保護用遮断器の定格電流の55%以上の許容電流を持つものにすることによって、分岐点から3m以内の過電流遮断器
の設置を緩和することにする。
幹線保護用遮断器定格電流は225Aなので、
225×0.55≒120A
よって、分岐後の幹線は、120A以上の許容電流を持つケーブルを選定する。
しかし、先ほど、許容電流からの算出結果により、
幹線分岐部分〜分電盤1L-1の設計負荷電流は100A
幹線分岐部分〜分電盤L-2の設計負荷電流は150Aとなり、設計負荷電流のほうが大きいため、分岐部分は、設計負荷電流を基準に150A以上の許容電流を持つ電線を選定する。
今回は電線管主体で、EM-CETを使用するため、建築設備設計基準の「保護管配線の場合のEM-CE及びCVケーブルの許容電流」の表における、EM-CEDの値を確認する。(単相の場合、通常、EM-CETの中性線に電流が流れないため、EM-CEDの値を参照する)

よって、分岐後のケーブルは、EM-CED60sqの許容電流が165Aなので、EM-CET60sqを採用する。
分電盤の主幹ブレーカーは予備回路を含めた設計負荷電流以上であればよいので、それぞれ100A、150Aであることを考慮し、100A、150Aとする。
※今回は適用しなかったが、分岐回路と同じ考え方で80%の余裕をもたせ、ブレーカーを選定する設計者も多い。盤メーカー側からも80%にするように言われることもある。
続いて、分岐前の幹線のケーブルサイズについても算出する。
同じく建築設備設計基準の「保護管配線の場合のEM-CE及びCVケーブルの許容電流」の表における、EM-CEDの値を確認する。
幹線保護用遮断器定格電流は225Aであり、EM-CED100sqの許容電流は230Aなので、EM-CET100sqを選定する。
よって、幹線サイズは
分岐前 EM-CET100sq
分岐後 EM-CET60sq
となる。
2.電圧降下の確認
幹線+分岐の長さが60m以下の場合、電圧降下の許容値は幹線3%以下、分岐2%以下となる。
分岐前 EM-CET100sq、分岐後 EM-CET60sqを使用した場合において、L-1系統、L-2系統それぞれ電圧降下が、3V以下になっているか確認する。
(今回はL-2の方が距離が長いので、簡略のため、L-2の電圧降下が満たしていれば良いこととする)
まずL-2系統の電圧降下の計算は以下のようになる。
(0.255Ω/km×30×10-3 km×250)+(0.406Ω/km×
10×10-3 km×150)≒1.9+0.6≒2.5
よって3V以下になったため、
分岐前 EM-CET100sq
分岐後 EM-CET60sq
とする。
三相3線式で、負荷容量が消費電力表記の場合
【諸条件】
・配線方法
ケーブルラック
・こう長
70m
・動力盤の容量
10.9kW(消費電力)
※分岐回路は、4kW×2回路 2.9kW×1回路で、全て直入れ始動
1.設計負荷電流の算出
まず、設計上、どれくらいの電流が流れるのかを算出する。
三相負荷電流=負荷容量(VA)/√3×電圧(V)
負荷容量を消費電力に変換すると上記の式は以下のようになる。
三相負荷電流=消費電力(W)/√3×電圧(V)×力率
今回は、動力盤P-1の消費電力の合計値が10.9kWであるため、計算は以下のようになる。
10.9×1000/1.73×200×0.8≒39.3A
よって設計負荷電流は39.3Aとなる。
※力率は、メーカーが決まっている場合、メーカーに確認する方法もありますが、建築設備設計基準の「電路」の項を参考に0.8とする場合が多い。
つまり、受変電設備〜動力制御盤1P-1の幹線には、設計上、39.3Aの電流が流れることになる。
2.配線選定上必要な許容電流(内線規程3705-6)
先ほど設計負荷電流を算出したが、電動機の場合、始動電流があるので、それも考慮したうえで、配線の太さを選定する必要がある。
電動機の定格電流の合計が50A以下の場合は、その定格電流の1.25倍、定格電流の合計が50Aを超える場合は、定格電流の合計の1.1倍する。
39.3Aは50A以下なので、1.25倍する。
39.3×1.25=49.1A
よって配線選定上の設計負荷電流は49.1Aとなる。
3.配線サイズの選定
配線選定上の設計負荷電流は49.1Aだが、今回はケーブルラック配線なので、低減率を考慮して
EM-CET14sqの場合、86A×0.7(低減率)=60.2A>49.1A
よって、EM-CET14sqを選定する。
4.電圧降下の確認
幹線+分岐の長さが60m以下の場合、電圧降下の許容値は幹線3%以下、分岐2%以下となる。
EM-CET14sqの場合、電圧降下が、6V以下になっているか確認する。
(3相の場合は200Vに対して3%となるため、許容電圧降下は6Vということになる。)
EM-CET100sqの場合の電圧降下の計算は以下のようになる。
1.430Ω/km×70×10-3 km×39.3=3.33V
1.430は力率を0.8と想定
6%以下であったため、配線太さはEM-CET14sqで問題ないということになる。
5.幹線保護用遮断器の選定
電動機負荷の遮断器の選定は、内線規程の表にて行つが、内線規程の表は出力表記なので、消費電力しかわからない場合、内線規程の表は適用できない。
よって内線規程資料3-7-1の効率の参考にも参考にしつつ、出力は消費電力よりも低い値になると考えられるため、表の直近下位のkW数を採用する。
↑200V三相誘導電動機の幹線の太さ及び器具の容量(内線規定より抜粋)
よって消費電力が10.9kWの場合、内線規程の表の出力8.2kWの場合を参照して、幹線保護用遮断器の定格電流は60Aとする。
問い合わせや質問はこちら
wpg8610/at-mark/gmail.com
スパムメール対策の為「@」を「/at-mark/」と記載