4月のドラフトでセインツに指名された選手を数回に分けて紹介していきます。全員がルーキー・キャンプの前に契約を結びました。

 

2巡48位: C エリック・マッコイ (テキサス農工大、レッドシャツ・ジュニア)

OLの評価のポイントは、①サイズ、パワー、スピードやクイックネスといった身体能力のほか、②ステップワークやハンドテクニック、③フットボールIQが基準になるかと思います。

 

マッコイは身長6フィート4インチ、体重303ポンド、腕長33インチという理想的なサイズの持ち主です。コンバインの40yランでは今年のOL最速を記録するなど身体能力も高く、パワー型と身体能力型のDLどちらにも通用するクイックネスとパワーも持ち合わせています。

 

ボディ・コントロールがうまく動きも俊敏で、スナップからブロックへの移行やブロックの切り替えしがスムーズで滑らか。素早い動きで捕まえる、手や腕の使い方がうまく放さない、重心やアングルも適切な位置に保つなど、十分な足腰の動きとテクニックがあります。

 

特にパス・プロテクションは文句なし。ブリッツにもしっかり対応できているので、基本的なフットボールIQはあると見て良さそうです。一方、ラン・ブロックでは上半身のパワーに頼る傾向が見られ、オープンスペースへ出ると相手をしっかり捕まえられないこともあるようです。2列目以降のブロック、セインツでは特にスクリーンのリードブロックを取り損ねる可能性がありますね。必殺プレーなのでそれは困る。

 

カレッジでは1年目のレッドシャツ(練習生)を経て3年間全試合に先発出場。このうち、2試合はGとしての出場でした。スプリングゲーム(学内紅白戦)では毎年Gもプレー。39試合で許したサックは1回だけ。SECという強豪カンファレンスに所属し、アラバマ大やクレムゾン大といった強力DLとマッチアップしながらも、コンスタントな動きをしており、その安定性をショーン・ペイトンは絶賛しています。

 

ハイライト

 

これだけだとさっぱりわからないので、やはり参加した全スナップをまとめた映像をチェックしておくべきでしょう。マッコイ個人のものは見かけませんが、強豪との対戦が多いからかOLユニット全体の映像は豊富です。もっとも厳しいマッチアップだったと思われる2試合をピックアップします。

 

クレムゾン戦

 

#64がマッコイ、クレムゾンの#90がデクスター・ローレンス(1巡17位でNYGが指名)、#42がクリスチャン・ウィルキンス(1巡13位でMIAが指名)、#99がクリリン・フェレル(1巡4位でOAKが指名)です。1巡の真ん中までに3名が指名されるクレムゾンのDLがどうかしてますが、マッコイは圧倒しているわけではないものの、打ち負かされてもおらず、同等にマッチアップしています。これだけのメンツ相手に押し込まれることがほぼありません(ユニット全体は苦戦してますが)。パワータイプの1テクNTローレンスについてはほぼ無力化しています。クイックネス型のウィルキンスに対しては、序盤1人で押し退けてランを効果的に出したプレーは良いですね。前半終盤に横をすり抜けられてQBサックを食らってますが、これはスクリーン狙いが失敗しました。ダブルチームの仕方やタイミングもうまく、相手のラッシュをよく知ってます。そして、ダウンフィールドに出た際は確かに上半身を突っ込みすぎて自身を持て余していたり、アングルが悪くて的確なブロックができずレーンを潰している場面もありますね。

 

アラバマ戦

 

#92がクイネン・ウィリアムズ(1巡3位でNYJが指名)です。4Qまでくると大差がついて相手のやりたい放題になっており、ウィリアムズも出てないし、終盤はマッコイも退いているので、見るのは3Qまでで十分です。身体能力が高い3テクのウィリアムズにはダブルチームで対応することが多いですが、たまに1対1になっても中に侵入されることがありませんね。逆にラン・ブロックで押し込むプレーもありませんが、全体3位の選手と互角にやり合っているのは十分に素晴らしいです。ただ、別の選手(#99とか)にちょいちょい横をすり抜けられているのは何でしょうね。クレムゾン戦以上にOLユニット全体は苦戦しています。ほぼ孤軍奮闘の状態ですね。