2024.2.4夜 スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』(初日夜の部) | 猫はミュージカルの夢を見るか

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猫と劇団四季が大好きなオバサンの、猫との日々と観劇日記。
愛猫は2022.2.8にお空に還ってしまいました。
観劇日記はサボリ気味です…。
2023年春から、バラを育て始めました。

母と一緒に新橋演舞場でスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』を観ました。


何も考えずにチケットを取ったら初日でした。

劇場の入り口でこれを見て気が付きましたあせる


主役の小碓命後にヤマトタケル/大碓命は中村隼人さんと市川團子さんのダブルキャスト。初日の昼の部のヤマトタケルは隼人さんで、夜の部のヤマトタケルは團子さんでした。

私たちが観たのは夜の部。團子タケルを観ました。


配役

公式サイトから拝借

交互出演はマーカーしたのが初日夜の部の配役です。



以下、歌舞伎初心者の感想です。

色々勘違いもあると思いますが、ご容赦を。



隼人さんのヤマトタケルを観ていないから比較はできないけど、團子さん、とてもよかったです。

物語の中のヤマトタケルの行動は、どれも"若気の至り"が根っこにあるような気がしました。團子さん自身の若さが、ヤマトタケルの若さにうまくシンクロしていて、ヤマトタケルの人間的な未熟さがよく伝わって来ました。

熊襲の場面では女に化けて踊る團子さん、とても綺麗でかわいらしかったです。あれなら熊襲兄弟も騙されて油断しちゃうわねー。

大碓命と小碓命の早替わりも見事でした。衣装替えもすごいけど、ちゃんと別人になってました。小碓命とはまったく違う野心家の大碓命、妻の妹の弟橘姫に迫る姿もワルでした。


中村米吉さんの兄橘姫/弟橘姫の姉妹早替わり二役も、ちゃんと姉と妹で別の女性になっていてすごかったです。

兄橘姫は人妻(大碓命の妻)なので成熟した女性の落ち着きと色香が漂っていました。

弟橘姫は乙女でした。まだあどけなさが残る表情や仕草が可愛らしい。去年観た米吉さん主演の『オンディーヌ』(歌舞伎ではなくジロドゥのストプレ)を思い出しました。オンディーヌもとても可憐でした。

船旅の途中、嵐を鎮めるため(占い師に海の神が姫をご所望と言われたのです)に海に身を投げる弟橘姫。引き止めるヤマトタケルの未練を断ち切ろうと、「帝にはなれないあなた(ヤマトタケル)といても皇后になれないけれど、海の神の皇后にならなれる」と強がる姿がとても健気でした。


大碓命と小碓命を團子さんが早替わりで演じる場面と、兄橘姫と弟橘姫を米吉さんが早替わりで演じる場面は、それぞれダミーがいるのですが、ダミーの役者さんたちも、團子さん、米吉さんの雰囲気をちゃんと持って演じていました。團子さんと米吉さんもすごいけど、ダミーの役者さんも素晴らしい。


ヘタルベと熊襲弟タケルを演じた中村歌之助さん。

1幕で演じた熊襲弟タケルは粗野で暴れ者。豪快な動きで男臭い役でした。

2幕と3幕で演じたヤマトタケルの従者ヘタルベは、ヤマトタケルが大好きで一生懸命お仕えします。その姿が子犬のようで、なおかつ弟キャラ(大好きなお兄ちゃんのために頑張る弟)でめっちゃかわいかったで目がハート 歌之助さんは実際に三兄弟の末っ子だものね。

お兄さんの福之助さんもタケヒコ役でこの舞台に出演しています。タケヒコもヤマトタケルに忠実な従者。実の父(帝)に不利な状況に追い込まれるヤマトタケルの悔しい気持ちを自分のことのように受け止める忠義者でした。

團子さんも福之助さんも歌之助さんも20代。3人が揃うと若々しいパワーが舞台に溢れていました。


ヤマトタケルの叔母・倭姫役の市川笑三郎さんは、去年の12月に観た『流白波燦星(ルパン三世)』では次元大介を演じていました。

ルパン歌舞伎のプログラムで女形さんだというのを読んでいましたが、次元がとっても渋かったので、女形の姿がイメージできませんでした。

倭姫は帝(倭姫の兄)に冷遇される小碓尊を不憫に思い、色々と心遣いをしてくれる優しい叔母様でした。ヤマトタケルと弟橘姫の惹かれあう姿に「私だってまだ神様を夢中にさせることだってできるわ」とささやかな対抗心を燃やすお茶目なところもあって、とても素敵な女性でした。

女の仕草はこう、という歌舞伎の様式美があるからこその女形だと思いますが、次元の時の男臭さをまったく感じさせない見事な女っぷりに、歌舞伎役者さんですごいなとあらためて思いました。


我が子である小碓命に冷たく当たる帝。演じるは市川中車さん。

『ヤマトタケル』を創った父・三代目猿之助(猿翁)さんとの複雑な事情がある中車さん。どんな思いで帝を演じてるのかな…と下世話なことを考えながら観てしまいましたあせる

カテコで、ヤマトタケルが帝に跪いて、その手を帝が「よくやった」と言うように微笑みながら頷いて握りしめる演出がありました。帝からヤマトタケルへの労いでもあり、中車さんから團子さんへの労いでもあるのだと思います。ちょっとグッと来ました。


熊襲の場面や相模の国の火の場面では、舞台いっぱいに登場する役者さんたちに圧倒されました。皆さんアクロバットがお見事。

火の場面は大きな旗を振って炎を表現する振り付けがカッコよかったです。


スーパー歌舞伎を観るのは2作目でした(初めて観たのは2019年の『オグリII(セカンド)』)。

映像などのハイテクと歌舞伎本来のアナログな手法をうまくミックスしたド派手な演出は見応えありです。

スーパー歌舞伎は歌舞伎入門としては最適な舞台だと思います。私も『オグリ』を観て歌舞伎の魅力に目覚めて、古典作品もいくつか観ました。

去年の12月には新作歌舞伎『流白波燦星』も観ました。これも面白かったにっこり←感想書けなかったけど(汗)

歌舞伎、もっと色々な作品を観たいな。



機会があれば、隼人タケルも観たいです。







團子さん、高熱を出して2/9から休演しているそうで。

頑張りすぎたかな。

早く復帰できるといいですね。