白井徳満先生との出会い
『私憤から公憤へ』の著者、
吉原先生からの返事が届いた。
手紙には「自分の子どもは『認定』されているが、
五実さんのようなケースが多いことも現実です。
東京都立豊島病院の小児科医長をしている白井徳満先生に
一度相談してみませんか。連絡は入れておきます」
こんな内容と、白井先生の連絡先が書かれていた。
私は、五実の発病から現在までを詳しくまとめると、
集めた資料のコピーを同封して白井先生に手紙を書いた。
その日、八幡保健所の婦長さんからも電話が入る。
「九州大学の黒岩義五郎先生を班長とする
多発性硬化症調査研究班がまとめた
『多発性硬化症調査研究報告書』がありますが、読んでみますか? お貸しいたしますよ」
という内容だった。
私は電話を切ると保健所に駆けつけた。
そして厚さ三㌢ぐらいの報告書を借りて来た。
ページを開くと、
略語をまじえた専門用語が並び簡単には理解出来そうになかったので、
コピーをしてじっくり読むことにした。
当時はコピー機が現在のように普及していなかったので、
業者へ持ち込みコピーしてもらった。
私たちは、コピーした報告書を何度も読み返してみた。