予備試験=旧司法試験

 

 これは、旧司法試験の合格者数が一時期500人程度であり、予備試験の合格者数とほぼ同じであるため、レベル感の話として以前から言われていることである。

 

 予備試験は、司法試験の受験資格を得るための、一歩手前の受験資格試験であるので、両者は比較の対象にならないとも考えられる。しかし予備試験は、ローに通えない人はもちろん、現に通っている人でも、将来通う予定の大学生でも受験できる。

 

 いくらロースクール制度があるからといって、会社勤めの社会人は、いきなり会社を辞めてローに行くのではなく、仕事をしながら受験が可能な予備試験から始めよう、と考えたくなるのが人情だと思う。

 

 また、現状予備試験合格がブランドになっている側面もあり、大学入学時点で法曹志望である優秀で意識の高い学生ほど、ローにはいかず、予備試験合格を目指そうとしているのではないか。すでにローに通っているロー生であっても、ブランドを手にするために、また、学費を抑えるために真剣に目指している人も多いであろう。

 

 よって、少なくとも、合格者となりうる上位層については、予備試験=旧司法試験という考え方は十分成り立つ話だと思う。これは、予備試験合格者の97.5パーセントが司法試験に合格するという数字によっても、裏付けられていると言える。

 

 そうすると予備試験受験生は、予備試験という名の、旧司法試験と合格レベルがたいして変わらない超難関試験を受けていることになる。事情によりローという選択肢がありえず、予備試験経由でしか司法試験を目指せない人にとっては、これはかなり厳しい現実である。越えなければならないハードルは、非常に高い。

 

 私も、今回の論文試験不合格で、改めてそのことを、まざまざと思い知らされた感じがする。自分が受けている試験は、司法試験の受験資格を得るための前提試験などという、甘っちょろいものではない。合格者500人時代の旧司法試験と事実上変わらないレベルの試験なのである。

 

 予備試験が、真に司法試験の前提試験として機能するように、もっと合格者を増やしてほしい気もするが、現状そうなる気配は全くない。そうであれば、あの旧司法試験と変わらないレベルの、限られた500人弱のエリートスペースに入り込むしかない。それは、相当な困難を伴ういばらの道である。生半可な気持ちで合格出来る試験ではないのである。認識を新たにして、来年の試験に挑むほかはない。