「世界はどんどん涼しくなる」
とカボスケが言った。独り言のようだった。
「逆だよ、カボ」
僕は笑った。
「世界はどんどん暖かくなっているんだよ」
カボスケは一瞬だけ驚いた顔をし、それを隠した。
「そうでした。逆でした」
そう言って、恥ずかしそうに笑った。
もともと知らなかったくせに、と僕は思った。もちろん、口には出さなかった。カボスケは日向に移動して眠った。日が傾いて、日向は残りわずかだった。
寒くなって窓を閉めた。そして気づいた。
カボスケは今日1日のことを言ったのかもしれない。
日々深まる冬のことを言ったのかもしれない。
反論すればいいのに、と思った。
カボスケは遠慮してる。もう少し信頼関係を育てる必要がある。
何を言ってもエサを与えなくなったりしないと、いつか信じてくれると嬉しい。
