腹筋5回やりました。
避難訓練。
リーメンはダラダラ階段を降り、リーウィミンはヘラヘラふざけた。
避難訓練でふざけるような大人にはなりたくない。
僕は真剣に逃げながら少し腹を立てていた。
広場に集合した後も軽薄なざわめきが続いたが、現れた消防隊長は全く動じなかった。
渡された拡声器を傍に置き、よく通る生声で語りはじめ、あっという間に数百人を魅きつけた。
ユーモアの力と、その芯にある真剣さで、僕らを一気に集中させた。
立派な男だった。
腹筋200回位やってるのだろう。
帰り道、ジャイアンに隊長の話をした。
ジャイアンは言った。
「僕は自分を鍛えられない。自分を掃除すら出来ない。よびお次第だ」
本当だ。お前が汚れているのは僕が汚したままでいるからだ。お前を選んだのさえ僕だ。
「結局、お前は僕なんじゃないか?」
「それを言っちゃあ、おしまいですよ」
ジャイアンは笑った。
何がおしまいなのか、僕には分からなかった。
僕はジャイアンの分まで、自分を鍛えようと思った。
速くは走れないけれど、できるだけ遠くへ連れて行ってやろう。