朝だけ雨 | 腹筋5回日記

腹筋5回日記

毎日腹筋5回だけ。

腹筋5回はまだです。

朝、雨だった。
ジャイアンは雨が大キライだ。
「錆野郎で行きなよ」
「錆野郎じゃない。錆太郎だ」
僕も雨が苦手だ。レインスーツにレインハットで完全防備。
「僕にも何か着せてよ」
無視して出発。大した雨じゃなかった。

途中、レインコートを着せられた犬とすれ違った。
「犬でさえ。。」
「お前はモノだろ」という言葉を飲み込んだ。僕は優しくなろうとしている。

ジャイアンが歌いだした。
「どうせいつかは粗大ゴミ。同じゴミなら走らにゃそんそん」
下手なバイオリンのような、キシんでヒズんだ耳ざわりな高音だった。

自転車置場に着いた。
「全く、修理に出すと下らないことばかり覚えて来る」
「自転車屋には新品の楽天家ばかりさ。僕が奴らに教えてやったんだ」
「ならお前は誰に習った?」と尋ねたが、ジャイアンは答えなかった。
しつこく尋ねる暇はなく、僕は走って駅に向かった。

満員の電車の中で考えた。
僕はこの数年で2台の自転車を、粗大ゴミに出した。
錆太郎はそれを見送って来た。

キシんでヒズんだ歌声は、ジャイアンの軽快な走りに似合わなかった。
それはまさに、錆太郎のチェーンが鳴らす音だった。

「錆野郎」も「錆太郎」も大して変わらないことに、僕は気づいた。
駅に着くと、僕はモノのようにホームに押し出された。