ノンストップ 異色スリラー「殺人鬼から逃げる夜」 | あなたの知らない韓国 ー歴史、文化、旅ー

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 また韓国映画界がすごい映画をつくりました。最初から最後までハラハラし通しで、ホラー映画よりも怖くて、考えさせる映画です。「殺人鬼から逃げる夜」(原題: 미드나이트,ミッドナイト)   クォン・オスン監督 2021年。(字幕翻訳:根本理恵さん)

 

 

 

 

 主人公ギョンミ(チン・ギジュ)は全くの聴覚障害者。再開発地区となった下町地区で、同じ障害を持つ母親(キル・ヘヨン)と一緒に住んでいます。昼間は通販会社で手話対応のオペレーターをしながら、親子で済州島旅行に行くことを楽しみにしています。そんなある日、帰宅途中に女性が男に襲われるところ目撃してしまいます。この男は女性や弱者ばかりを狙うサイコの連続殺人鬼ドシク(ウィ・ハジュン)。目撃されたことに気づいた男は執拗に彼女を追いかけ始めます。相手が近づいてきても音が聞こえない。他人に意思がつたえられないそんな状況でどうやって彼女は逃げるのでしょうか。絶対生き延びるのだと全速力で走り抜ける彼女に喝采を送りたくなりました。

 

 今までにない新しい逃走劇スリラーです。凶悪な犯人から耳の聞こえない女性がどうやって逃げるか、音の聞こえない世界というものを想像したことがあるでしょうか。犯人が近づいていても足音すら聞こえない、車が近づいてもなかなか気づかない、周囲の助けを求めても十分に意図が伝えられず、却って男に言いくるめられてしまう。もし自分が彼女の立場だったらと思うと鳥肌が立ちます。

 

 

 

 この映画はまた我々が気づいていなかったことを教えてくれます。聴覚のみならずいろいろな特徴のある人々が社会に存在します。しかしこの映画の主人公のように、目の前にいてもそれとは気づかない人がいます。いろんな立場の人が困ったときにすぐに助けを求められるそんな社会でなければと思いました。それと同時に、映画の彼女のように走り抜けられるくらいの基礎体力が必要だと言うことも実感しました。

 

 またタイトルですが、原題は미드나이트(ミッドナイト)。でもこれではどんな映画かわかりません。邦題の「殺人鬼から逃げる夜」の方がスリラーらしくていいと思いますがいかがでしょうか。