必見 ドキュメンタリー「分断の歴史〜朝鮮半島100年の記憶」 | あなたの知らない韓国 ー歴史、文化、旅ー

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 大阪市淀川区十三にあります第七芸術劇場は、ほかの劇場ではあまりお目にかからない独立系映画やドキュメンタリー映画を上映している劇場です。通称ナナゲイなどと言われますが、そのナナゲイで南とキタに分断が続いている朝鮮半島の分断の歴史についてのドキュメンタリー映画が上映されていました。邦題はそのものズバリ「分断の歴史」。そう言うと南か北か、あるいは在日韓国・朝鮮人の方々が作った映画かと思われるかもしれません。どれも正解ではありません。製作者は実に意外な人です。ピエール・オリヴィエ・フランソワというフランス人です。彼は2002年にフランス人記者として、2000年、南北首脳会談取材のためにはじめて訪韓し、その後、南北双方に関わる報道に携わりました。金正恩が北の最高指導者になり、情勢が大きく変わっていく今からだこそ、分断の歴史を振り返る必要があると本作を作ったとのことです。

 

 


 

 

 

 

 この作品は北の立場でも南の立場でもないフランス人記者としての立場から半島の近現代史を再構成したものです。日本の植民地統治から、1945年の解放、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国の成立、そして朝鮮戦争による分断の固定化が民族の悲劇の根元です。そして戦後、南は李承晩、朴正煕から全斗煥の軍事独裁、金大中、盧武鉉から文在寅への動き、北は金日成、金正日、金正恩への動きを、南北関係を軸にしながら、通時的にダイナミックに描きます。

 

 ニュース映像だけでなく、朴元淳元ソウル市長や、元C I Aソウル支局長、韓国大統領補佐官、北の祖国統一研究院院長、元北朝鮮国連大使など、南北関係に関わる重要人物の証言は迫力があります。それぞれの立場により意見は異なりますが、半島が平和的に発展することへの大きな期待が込められているのを感じました。映画の最後、南北首脳会談の席で平和的統一への期待が表明されていました。隣国の人々に平和が訪れることを祈念しながら、劇場を出ました。地味だけど見応えのある映画でした。