皆さんこんにちは。今回はソウルにある国立博物館のひとつについてお伝えします。
ソウルの国立博物館の中で文字を主題にした博物館があるのをご存知でしょうか。
何の文字かと思う人がいるかも知れません。場所は韓国ですから、文字と言えば・・・・
そうですハングルです。ハングルを主題にしたハングル博物館がソウルにあるのです。国立ハングル博物館です。
ハングル博物館は地下鉄二村駅前、国立中央博物館の隣接地にあります。地上3階建てで2階は常設属示室。3階は企画展示室や子供博物館があります。
ハングルとは言うまでもなく朝鮮語を構成する基本的文字であります。1443年、朝鮮4代国王世宗の時代につくられた朝鮮固有の文字です。ハングルの秀でた文化史的意義を顕彰するため、2014年10月9日、ちょうどハングルの日にあわせてオープンしました。人場料はなんと無料です。すごいですね。
ハングルは朝鮮半島地域での言語生活に欠かせない文字で、「偉大な文字」という意味もあります。ハングルはつくった人や時期、時期、経緯などの基本情報が明確に記録として残っている世界でも珍しい文字です。
母音・子音の組み合わせで構成される表音文字です。ハングル創制以前からの朝鮮半島地域の言語の歴史を含め、アジアに関心のある者にとって興味深い展示になっています。ハングルが単なる表音文字を超えて、朝鮮半島地域の文化を形成するもとになったことをいろいろ考えさせる興味深い展示です。
まず常設展示の入口では、訓民正音が我々を迎えてくれます。
ハングルが制定される以前の文字表記のありかたに関する展示もあります。
古代の固有名詞の表記法についてです。左側の写真は中国吉林省集安にある広開土王陵碑(高句麗)です。
吏読は漢字の音と意味を利用しながら、朝鮮での言葉を語順通りに表記する方法のことを指すものです。
次はハングルの歩みに関する歴史的場面を模型で紹介する展示です。
やはり最初に語られるのは、朝鮮第4代国王世宗と訓民正音についてです。これには多くの学者や僧侶が関与したことが明らかになっていますが、それにしても一から文字を作り出すなんてすごいことだと思います。
そして日本の植民地支配のもとで、はじめての朝鮮語大辞典を編纂した朝鮮語学会と「朝鮮語大辞典」に関する展示です。この当時以降、言葉は変化していますが、現代の辞書の元になった画期的な辞書です。
発声に伴う舌の位置について具体的に図示しています。参考になりますね。
平音、濃音、激音の関係についての説明もあります。学習上、参考になりますね。
次にハングル普及に関する文化史的展示もあります。宗教経典の普及にもハングルが利用されました。民衆への布教と共のハングルも浸透したのです。
上は法華経の諺解本です。現代常用されている経典のかなりの部分は朝鮮時代に諺解されているようです。
朝鮮の名妓黄真伊に関する展示です。韓国ドラマでもお馴染みの人物ですね。
ハングルで書かれた春香伝に関する小説類です。現代韓国でも非常に人気のある題材で、パンソリや芸能の重要な主題にもなっています。もしハングルがなければ、文学史は全く違った面貌になっていたでしょう。
韓国語を学ぶ人もそうではない人も一度ハングル博物館に行かれるのはいかがでしょうか。ハングルの起源や歴史、構成原理などについて興味深く整理されており、一層興味が深まると思いますよ。
所在地
ソウル特別市 龍山区 龍山洞6街 168-6
(서울특별시 용산구 용산동6가 168-6)