発達障害の診断の一つとして有名な課題です。
部屋に二人の女の子、サリーとアンがいます。
サリーは青い箱を持っていて、アンは赤い箱を持っています。
サリーはお気に入りのおもちゃを青い箱に入れて部屋を出ます。
一人になったアンは、おもちゃを赤い箱に入れ替えます。
それからアンも部屋を出ていきました。
誰もいなくなった部屋にサリーが戻ってきました。
おもちゃが見当たりません。サリーはおもちゃを捜します。
さて、、、サリーはどちらの箱を開けてみるでしょうか?
多くの発達障害者は、「アンの赤い箱」と回答します。
NHKの何の番組だったか、幼稚園児でこれを試したところ
5才児では半数くらいが「サリーの青い箱」と答えました。
5才児の半数は他人の気持ちを推し量ることができたのですが
半数はできず、これは4~6才で獲得する能力であるようです。
なので、人間の「他人の気持ちが分かる」という能力は
3才以下では無理で、5才前後に獲得する能力であるようです。
この話はこのまま置いといて・・・
本題です。
今月から始まったNHK・BSの新番組「フロンティア」
第一回の「日本人とは何者なのか」がすごかったのですが
第二回の「AI究極の知能への挑戦」がさらにすごかった・・・
偏差値60以上の人たちの知的な脳が大歓喜すること必至。
現役東大生が選ぶ「未来を変える天才ランキング」で
8位だった松尾豊氏が存分に語ってくれていました。
一言一言が全身に沁み入ります。細胞がよろこびます。
テーマは「AI」、人工知能についてです。
チャットGPTは文章で質問すると文章で回答する、というもので
日本でサービス提供が開始された折には話題になりました。
このチャットGPTの仕組みを、ものすごく単純に言えば
単語の「次の単語を予測する」という、たったそれだけ。
ただ、次の単語を予測するために、その人工知能が保有する
全ての単語をめぐっている、ということがポイントです。
この表によれば、2018年にGPT-1が開発されたようです。
2020年のうちに何か大きな変化があり、2022年にさらに変わり
2023年にはGPT-4に進化しています。すごいスピードです。
で、この人工知能は「次の単語を予測する」だけなのですが
学習を重ねるごとに「知っている単語」が増えていきます。
乱暴に言えば、この「知っている単語」が膨大な量の人工知能が
「大規模言語モデル」と呼ばれるとして・・・
歴代の人工知能に「サリーとアン問題」を質問したところ
大規模言語モデルである2023年のGPT-4になると
人間と同じく「青い箱」と完全に(100%)返答した・・・
単に、「次の単語を予測する」だけの人工知能でも
知っている単語が膨大で大規模になると、驚くことに
人間のように「他人の気持ちが分かる」ようなのです。
そして、脅威なのはその進化のスピードがものすごい・・・
人工知能も知っている単語数が膨大になれば、心を持つ?
人間の心もそのような仕組みなのかも?、、ということです。
逆に言えば・・・
3才以下の幼児では、知っている単語がまだ少ないので
他人の気持ちが推し量れないのかもしれません。
知っている単語の量が充分な場合は、「そこを検索していない」
という可能性もありそうです。何らかの要因で。
これは、チャットGPTの部分についての話だけですが
番組では、「起き上がること」と「前に進むこと」
だけを教えた四足歩行の人工知能のロボットが
全く歩けない状態(バタバタしてるだけ)から学習を繰り返して
やがて歩けるようになってしまう事例も取り上げていました。
おそろしい、、と感じました。
昭和の昔に「人類はマザー何とかという人工知能に支配される」
というような漫画がいくつかあったように思いますが
それがまんざら絵空事でもない、という時が来たようです。
学習して進化するスピードがおそろしく速いのです。