「情報の非対称性による逆選択」について考える | ユウ坊の経済を考えるブログ

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 「情報の非対称性による逆選択」とは“ある個人が持っている情報とその取引相手等がある個人に対して持っている情報に格差があるため、良質な財が市場から除かれ、悪質な財が残ること”をいう。要するに、ある個人について本人が持っているその個人の情報と他の者が持っているその個人の情報は情報量が全然異なるため生じる現象である(当然本人の方が情報量が多い)。
 「逆選択」は「アドバース・セレクション」ともいう。「情報の非対称性による逆選択」について考える。

 

 以前、『レモンの原理』について書いたが、レモンの原理も「情報の非対称性による逆選択」の1つである。

 参照:「レモンの原理」について考える

 

 「情報の非対称性による逆選択」の典型的というか代表的なものの1つとして「学歴のシグナリング・モデル」がある。企業が社員を雇用しようとしている時、その基準とするものである情報(シグナル)が不完全であるから本来採用すべき人物を採用しなくなるようなケースである。

 

 例えば、極端な例になるが、今、偏差値の高い大学を出たA君と中学校しか出ていないB 君がいるとする。A君は勉強はできるが要領が悪く、仕事に時間が掛かる。一方、B 君は勉強はそこそこだが要領が良く、仕事をテキパキとこなすとする。

 

本来、企業がほしい人材はB 君である。しかし、企業サイドは両者の中身まではよくわからない。よって、学歴とか知りえる情報(シグナル)によって意思決定せざるを得ない。情報(シグナル)が不完全であるため、学歴の高いA君を選択してしまう。これが「情報の非対称性による逆選択」である。

 

 端的なイメージに置き換えると、「相手のことをよくわからないから、外見だけ見て見栄えがいい方を選択し間違った方を選んでしまう」ということである。

 

 余談となるが、A君とB 君の例えの場合で、A君及びB 君サイドで考えた場合、進学か就職かという意思決定では、進学の方が有利になるというモデルもある。
 企業サイドと
A君及びB 君サイドでの意思決定の問題は同じフレームワーク(枠組み)で論じられるものである。

 

 思うに、学歴偏重な世の中に陥ってしまうというのは、上記の「学歴のシグナリング・モデル」と「進学が有利となるモデル」という枠組みから導き出せると考える(例えば、いい大学を出ればいい会社に就職できるなど)。

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