「有効需要の原理」と「セイの法則」について考える | ユウ坊の経済を考えるブログ

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「有効需要の原理」はケインズの主張であり、ケインズ経済学の根本原理である。また「セイの法則」は新しい古典派の主張である。両者は言い換えれば、需要サイドの経済学か、供給サイドの経済学かという主張の相違と考えられる。すなわち、ケインズは需要サイドがマクロ経済の規模 (以下GDPの規模とする) を決定すると考え、新しい古典派は供給サイドがGDPの規模を決定する考えている。これはGDPの決定者の相違といえる。しかし、どちらが正しいということではなく「有効需要の原理」は遊休設備が存在する不況を前提としており、「セイの法則」は、設備がフル稼働している好況時を前提としているからと考えられている。
 参照:「ケインズ革命」について考える
 参照:「ケインズ派」と「新しい古典派」について考える

 今回は「有効需要の原理」と「セイの法則」について、別の角度から考えてみたいと思う。私見によれば「有効需要の原理」と「セイの法則」の相違は「産業」によって区別できると思われる。つまり「有効需要の原理」は受注契約の産業に当てはまり、「セイの法則」は市場見込生産の産業に当てはまると考えられる。
「有効需要の原理」は投資 (住宅投資や設備投資) について当てはまる。その意味するところは、住宅投資や設備投資は受注 (≒需要) があってその規模がきまる。例えば、企業が工場を建てる意思決定 (例えば、取締役会の決議や株主総会の決議など) をした場合、その受注が成立したときに建設会社の最終消費といえる売上高たるGDPが決まる、そして「セイの法則」は市場見込生産 (例えば、おもちゃなどはどのくらい売れるかについて売上見込みをもとに生産する) の企業の生産量がGDPの規模を決めると思われる。市場見込生産で売れ残ったものは在庫投資となり、”供給が自ら需要を創出する”という「セイの法則」の主張に合致するからである。

 実のところは両者が複雑に絡み合って、期待値としてGDPの規模は決定すると考えられる。すなわち、設備投資は市場見込生産の大きさに依存すると思われ (市場見込によって工場を立てるか決定する)、また、市場見込生産は設備投資の大きさによるGDPの大きさに依存すると思われる。
 あくまで、これらの「産業」に分けた主張は、個人的な考え方であり、正しいかは、詳しいデータなどの情報がなく、また、統計学の知識等にも乏しいため、個人的に現在は検証のしようがない。