有希子は警察で事情聴取があるため、新一と蘭の2人でホテルに向かう。乗ったタクシーで、シャロンにもらったハンカチを窓から飛ばしてしまう蘭。
慌ててタクシーを止めてもらい探すと廃ビルの階段の手すりにハンカチを見つけた新一。
新一「すぐに取って来てやっから、蘭はタクシーに戻ってろ」
ふと、蘭は思った
蘭《あ…》
【回想】
シャロン「神様がいるならこんなむごい仕打ちしないもの」
ローズ「ありがとう かわいい天使さん…おかげで想いが遂げられたわ(英語)」
蘭《もしかしたらシャロン、分かってたの?ローズが殺人を犯す事を…私が殺人犯を助けた事を…どうしよう、私のせいだ…あの時私が彼女を助けたばっかりに…ヒースをあんな事に…私のせいだ、私の》
蘭は涙を浮かべていた。
気づくと目の前に怖モテの赤井秀一が立っていた。
蘭《長髪の日本人…》
手には拳銃を持っているようだ。
蘭《ダメ…体、動かない…》
タクシーの運転手は、通り魔だと叫ぶと走り去ってしまった。
赤井秀一「日本人か?日本人かと聞いているんだ」
蘭「は…はい」
赤井「怪しい男を見なかったか?長髪を銀色に染めたヒゲ面の日本人だ」
蘭「いえ、べつに、誰も」
そこへ赤井の仲間が車で現れる。
赤井「とにかくここは危険だ、あの角を右に曲がれば表通りに出る、そこでタクシーを拾うんだ」
赤井は蘭の腕を掴んだ。
蘭「でも、連れをここで待っているんです。私と同じ高1の男の子で」
赤井「じゃあ、君とその連れにもう一度だけ言う。消えろ!このエリアから今すぐに!」
男(赤井)は立ち去った。
蘭《やっぱりいるんだ、例の通り魔がこの近くに…早く新一に知らせて逃げないと…》
蘭は、廃ビルの中に入って行った。
蘭「新一?ちょっと!」
雷が鳴り響き一瞬明るくなった床。
蘭《今何か…赤いのがこの辺りに…血!まさか新一に…何かあったんだ…新一に何か…》
新一を探すため廃ビルの階段を上がって行く蘭だったが、風邪がぶり返して目が霞んだ。
蘭《しっかりしなきゃいけないでしょ、新一はあなたがハンカチを飛ばしたせいでここに入ったんじゃない…そう…みんな私のせい…あっ、誰か降りてくる、新一!》
蘭は喜んで駆け上がるが降りて来たのは、ケガをした銀髪の男だった。
蘭《銀髪…血…》
新一「逃げろ!蘭!そいつは例の通り魔だ!」
上の階から叫ぶ新一。通り魔は蘭に拳銃を向けていた。
通り魔「へへっ、そう言う事だお嬢ちゃん、上手くここへ逃げ込んだが、あの坊主に見つかってしまってよ。まぁ恨むんならこういう結末を用意していた神様って奴を恨むんだなぁ」
と、次の瞬間、もたれていた錆びれた手すりもろとも通り魔が落ちた…が、蘭が通り魔の服を掴んだ。
蘭「何してるの!早く私の腕に捕まって!早くしないと雨で手が…」
そこへもう1人の手が通り魔の服を掴んだ。
蘭「新一!」
新一「世話のやける野郎だぜ」
通り魔はそこから自力で踊り場に戻った。
通り魔「何故だ?どうして俺を助けた?いったいどうして?」
新一「わけなんているのかよ、人が人を殺す動機なんて知ったこっちゃねぇが、人が人を助ける理由に論理的な思考は存在しねぇだろ?」
蘭《そっか…そうだよね、こんなことに気づかないなんて…私って…》
蘭は倒れた。
新一「おい、蘭!」
通り魔は拳銃を構えた。
新一「やめときな!手負いって事は追手が近くにうろついてるって事、サイレンサーもなしに銃をぶっ放せば、すっ飛んでくるぜ?かと言って、俺もあんたを捕まえられる状況じゃない。この場は見逃してやるけどよ、また会う事があったら容赦はしねぇ、あんたが積み重ねた罪状や証拠を閻魔のように並び立てて必ず監獄にぶち込んでやっからそう思え!」
翌日、公園で有希子は電話をしていた。
有希子「そうよ、テレビのニュースでやってたでしょ?通り魔が見つかったって。あれって、新ちゃんが通報したのよ!でも警察が駆けつけた時には拳銃で自殺してたらしいけどね。あぁ、蘭ちゃんは元気よ。昨夜熱が出て寝込んでたみたいだけど、一晩休んだらすっかり良くなったみたい。その代わり、昨日起きた色んなこと、すっかり忘れちゃってるみたいだけど。ねぇ、シャロン?もしかして気づいていたんじゃないの?ローズがあの後、何かしでかすって」
シャロン『ええ、そういった勘は昔から働くのよ。まさか人殺しをするなんて思わなかったけど。それより、蘭ちゃんに伝えといてくれる?あなたの言う通り私にもエンジェルがいたみたい…って。』
有希子「あら?いい事でもあったの?」
シャロン『ええ、まぁね』
新一「おい、まだ熱があるんじゃないのか?」
蘭「平気平気…」
新一がおでこを近づけて熱を測ろうとする。
蘭「平気だってば…」
眠りから覚めた蘭。コナンがおでこを近づけて蘭の熱を測っていた。
毛利小五郎「気がついたか、蘭!そういや熱にうなされて妙な寝言、言ってたぞ…人助けとか、論理的思考がどうのこうのって」
コナン「げげっ!」
蘭「あーダメ!それは私だけの…そう、私だけの大切な言葉なんだから!お父さんがしゃがれ声で言わないで」
毛利小五郎「なんじゃいそりゃ?」
その夜、病室のベッドに1人横になる蘭。
蘭《そっか、すっかり忘れてた。あの時からだ…あの時から私ホントに…新一のこと…どうかしてるわね、こんな大切な事、忘れてたなんて。きっとイヤな思い出がいい思い出を封印してたんだ…色んな人に出会って色んな事が起こったから…。
そう、黒いニット帽のあの人も誰だろう…FBI?》
———エンディング——-
電話
新一『なんだ、熱出して寝てたのか?どうりでメールしても返事がこないわけだ?』
蘭「へぇ、新一心配してくれてたの?」
新一『あぁ、電話止められたんじゃないかってな!』
蘭「なんの心配してんのよ」
新一『で、体調は戻ったのかよ?」
蘭「うん!もうすっかり元気よ。風邪のおかげでニューヨークであった事思い出したしね」
新一『ああ、あのイヤな事件か。大丈夫かよ?おめぇあの時かなり凹んでたろ?』
蘭「平気よ!いい事も色々思い出したから。そういえばシャロンのハンカチどうしたの?」
新一『えっ?』
蘭「ほぉら、新一、取って来てやるって廃ビルの中に入ったでしょー?」
新一『あぁ、アレね、一応俺が預かってるよ』
コナン《やべ、どこにしまったっけ…》
新一『あの日、殺人事件が2つもあったから、思い出させない方がいいと思ってよ…』
蘭「2つも…ってあの通り魔は自殺したんでしょー?」
新一『あぁ、警察の発表じゃそうなってたけど、落ちていた血や、付いていた指紋がキレイに拭き取られていた。これから自殺しようって人間がそんな事すると思うか?あれは多分、アイツが自分の痕跡を消して逃げようとしてた矢先に殺されたんだ。警察が駆けつける前にやって来た…誰かにな』
通り魔はベルモットが変装をしていたのだ。FBI捜査官の赤井秀一を誘き出して殺害するために。しかし、返り討ちに遭い逃げ込んだ廃ビルで蘭と新一に会ったのだった。ちなみに通り魔の死体は、当然ベルモットではない。用意した死体を置いたという事だろう。
シャロン(ベルモット)の人生は不幸の連続だったため、人生に悲観し、神様と言う存在を否定していたが…蘭を殺そうした通り魔(変装したベルモット)。そんな相手でも命を助けた蘭(と新一)、シャロン(ベルモット)曰く【あなた(蘭)の言う通り、私にもエンジェルがいたみたい】
有希子「あら?いい事でもあったの?」
シャロン(ベルモット)『ええ、まぁね』
ベルモットにとって、
蘭は 命の恩人=エンジェル
に、なった。
いい話やね
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シーズン7,エピソード24〜26