名探偵コナンから、平和な2人を
思いつきメモから


秘密


最近ずっと、和葉の様子がおかしい

オレが誘いを放しても、何も言われへん
代替案は、片っ端から断られた
家へもあまり来えへんようになった

ぼんやりしとると言うか、憂いを帯びた表情を
時折見せるようになり、笑顔が減った

色艶っぽくなったと騒ぐツレ達は、片っ端から
蹴っ飛ばしたし、カメラ小僧達も蹴散らかした

けど

何や、原因がわからへん

ってか、まぁ、多分オレが悪いんやろうけど

和葉に、それとなく詫びを入れようとしても、
上手くかわされてしまうと言うか


今日もそうや

ツレ達とバスケしとって、クラスの窓から和葉
が見てるのに気がついて、手を振ったオレに、
下手くそな笑顔を見せたばかりか

オレの見間違いやなかったら、珍しく、電話に
出て窓辺から姿を消したんや

それとなく、聞き出そうとしたけど、何やらあ
るからとそそくさと帰ってしもうてな

今日は、ツレの誕生日祝いで、仲がええメンツ
でカラオケの約束が前々からあって、オレはそ
れを抜けるワケにはいかへんかったんや

ツレには詫びて、少しだけ早う帰らせてもろう
て、オレは和葉の家に乗り込む気満々で向かう
たんやけど

「和葉」

よろよろしながら大荷物を運ぼうとしとるのに
気がついて、慌てて声を掛けて荷物をうばった

おおきに、と言うてそっと笑うた和葉と並び歩
いてオレの家に向かう

オカンに呼ばれたらしく、久しぶりやから気合
い入れて差し入れを作ったらこんな事に、と言
うて苦笑しとった

「「ただいま」」

お帰りなさい、と言うオカンに出迎えられて、
家に上がる和葉の背後から、自分も上がる

和葉の激重かった荷物は、オレの大好物やった

そら重いやろ、琺瑯の鍋やし
それ以外にも、お重に仕掛けがしてあった

着替えて手洗いして来いと言うオカンに、オレ
も和葉も2階へと上がる

お気に入りの部屋着に着替えて階下に降りると
和葉も降りて来た

琺瑯の鍋にたっぷりあったのは、和葉特製の
ミートソースやねん

これ、パスタで食べるのはもちろん、ラザニア
にしても、オムレツに掛けても美味いんや

親父もオカンもおっちゃんも大好物

しかも、今日はハンバーグが入ってるんや
親父らには、煮込みハンバーグ風にして出すと
言うて、オレらにはパスタを添えて出すと言う

お重には、温野菜サラダ、長芋と里芋のフライ

「今日はな、デザートもあんねん」

白玉で作った手製のみたらしが山盛りに入って
たんや

これ、オレ好きやねん

つまみ食いするオレに苦笑しながら、ちゃんと
親父らの分を除ける和葉

落ち着く甘さと言うか、ふわふわの白玉はいつ
も和葉が白玉粉と水ではなく豆腐で作る白玉で
美味いんや

オカンまでつまみ食いを始めてしもうて、結局
和葉も食べ始めた

「小豆を炊く時間は無かったから、みたらしに
したんやけど、上手く行ったわ」

ふふふ、と笑う和葉に、冷やし小豆のも食べた
いとリクエスト

ええよ、週末、作るな?と言うて笑う

うん、いつもの和葉や
オカンとお喋りしとる様子も、いつも通り

でも、まだ完全やない

夕飯を食べ、交代で風呂に入り、宿題をやって
明日の支度をする

「平次、明日のお弁当、から揚げでもええ?」

「おう」

台所で弁当の支度をする和葉を手伝ってると、
玄関から親父とおっちゃんが現れた

和葉の手料理に嬉しそうな顔をして、2人して
縁側で晩酌をしながら食べていた

珍しく、2人で話をしていて、オカンは酒が
切れそうなタイミングで届けに行くだけやった

オレと和葉もそれぞれの部屋に引き上げて寝よ
うとしたら、おっちゃんに呼ばれた

明日、また来るから和葉を頼む、と
明日の夜、話があんねん、と言うて、寄り道せ
んと帰宅しろよ、と笑うと、おっちゃんは今夜
は職場に戻ると言うて帰っていった

to be continued