名探偵コナンから、平和×新蘭×CHを
過去作品改訂で
東西名探偵とスイーパーの遭遇_21仮題
第9章 希望
「無事、病院に入れたみたいじゃ」
教授が、工藤くんが無事病院に搬送されて、まず
は体調を安定させる準備に入ったらしいと言う
蘭ちゃんも、家族と再会して、元気にスポーツも
勉強も頑張っているとか
和葉ちゃんも、服部くんも、安心したような顔を
見せた
「じゃあ、そろそろ行こうか」
まだ治療中のミックに差し入れをして、私達は、
大阪までの移動を開始する事にした
リョウが借りて来た大型の車は、初めて見る車
で、道中、和葉ちゃんが寝られるようにしたと
言っていた
「はぁい！リョウ、香さん」
冴子さんが突然現れた
今日、和葉ちゃん達が大阪に帰ると聞いて、
最後に顔を見に来たらしい
本当は、大阪の服部邸まで、無事2人を送り
届けるところまで付き添いたかったらしい
のだが、
遠山さんに依頼された仕事があるらしく、こ
ちらを離れられないらしい
和葉ちゃんに、しっかりケガを治すようにと
言い、服部くんにもよろしくと言うと、じゃ
あ時間だから、と差し入れを置いて行った
じゃあ行くか、と言ったリョウに、促されて
車に行くと、服部くんが上掛けやら何やらを
上手く工夫して、和葉ちゃんが寝やすいよう
に座らせた
服部くんは、テキパキと動き周り、和葉ちゃ
んが動こうとするのを止めては、叱っていて
リョウはバックミラー越しにその様子を見て
苦笑していた
教授とかずえさん、ミックに挨拶した2人を
連れて、私達は大阪までのドライブをスター
トさせた
「この車、いい車だね」
走り出すと、すぐに重なるようにして爆睡
をし始めたふたり
リョウと静かに音楽を流しながら、車はすい
すいと西へ向かい進む
途中、適度に休憩を挟みながら、予定よりも
かなり早く大阪に入る事が出来た
立派な日本家屋の邸宅の前で、和服姿の美人
が、心配そうに待っていて、
「おばちゃん！」
「和葉ちゃん」
和葉ちゃんは、到着するなり飛びついた
車の置き場所を教えてもらい、服部邸に入る時
リョウが、あの女性は服部の母親だったのか、
と呟いた
幼い和葉ちゃんと服部くんがくっついたまんま
飛び込んで行った和服姿の女性の事かと思い出
した
「遠くまで、ありがとうございました」
静華さんと言う服部くんのお母さんは、目元が
特に服部くんによく似ていて
和葉ちゃんとは、母娘のよう
安心したせいか、和葉ちゃんも、表情が違う
静華さんは、依頼料として、旧姓だと言う池波
姓でかなりの額を支払ってくれた
「大切な息子と娘を護っていただき、ありがと
うございました」
それも、2度目、ですやろ？と、目を細めて笑
った静華さん
いつもだったら、リョウが大騒ぎする程の美人
とても、男子高校生の母親には見えない
部屋は余っているくらいだから、と、泊まって
行くように、と
ご馳走が並ぶテーブルを前に、はしゃいであれ
これ私達に勧める和葉ちゃんに、リョウも、私
も、楽しい時間を過ごす
心なしか、服部くんも、ごく普通の少年の顔を
していて、和葉ちゃんを気遣いながらも、ずっ
とのんびりした顔を見せた
「和葉ちゃんと平次が帰って来た時、冴羽さん
の姿は見ておりました」
多分、逃げ帰る2人を見守ってくださったのか
と、御礼を申し上げる間もなく、気付いたら姿
が無かったので、失礼致しました
静華さんは、離れた場所に立っていたリョウの
姿を覚えていると言う
和葉ちゃんは、静華さん相手に目一杯はしゃぎ
食事の途中でうつらうつら始め、最後は服部く
んに強制退場させられた
和葉ちゃんを軽々抱き上げスタスタと歩いて行
き、暫くすると、瓶を片手に戻って来た
「和葉がな、どうしても香さん達にって」
ラムネの瓶だ
「うわぁ！懐かしい！」
夏祭りに、アニキが買ってくれた事があって、
ビニールプールに大量に冷やされたそれが灯り
に照らされてキレイだった事を覚えている
「へぇ、瓶も変わってるな」
「リョウは知らない？知らないか
甘いものよりアルコール好きだもんね」
キンキンに冷やしてあるラムネはめちゃくちゃ
美味しかった
コレは、救出されて帰宅した後、2人が飲んだ
もので、昔から好きでわざわざ取り寄せしてい
るものだと服部くんが教えてくれた
くどく無い甘さと、柔らかいしゅわしゅわ感が
懐かしさと、ほろ苦さを運んで来た
「海外の炭酸飲料には無い炭酸具合だな」
へえ、と言いながら、瓶に残されたビー玉を眺
めるリョウ
リョウと日本家屋のテイストも、意外とマッチ
するんだなぁ、とぼんやり思いつつ
珍しくもっこりモードではなく、まったりと
会話んしているリョウに、何にも無いまっさ
らのリョウは、こんな感じなのかなぁと想像
していた
to be continued