名探偵コナンから、平和×新蘭×CHを
過去作品改訂で


東西名探偵とスイーパーの遭遇_20仮題

第8章 怒り


大泣きした和葉が、泣き疲れて眠り始めた

起こさへんように抱えて、部屋に行こうとすると
タイミング良く香さんと冴羽さんが現れた

扉を開けてもらい、寝かせた和葉の髪を解いて、
上掛けを掛けてから、オレはまたリビングに戻る

「お願いがあんねん」

オレは、冴羽さんに頼んだ
今後、工藤と姉ちゃんからは距離を置いてくれと

和葉には、自分が言わんでも、おっちゃんが言う
はずやから、大丈夫やけど、事情を知らん姉ちゃ
んから、工藤に色々知られるのはマズいやろ、と

工藤は、恐らくいつかまた道が重なれば、冴羽さ
んの秘密を首を突っ込まずには居られへんやろし

「オマエはどうなんだ?」

オレは、オレの目の前で違法な事をされた場合
は、アカンけど、直接見てへん事には、突っ込
まない約束を護るつもりや

和葉も同じや

おっちゃんを、助けてもろうたのと
チビのオレらを助けてもろうたし
この間の事もある

義理は果たす

ちなみに、大学生活を終えたら、オレは探偵は
卒業予定やねん

次は、刑事として、事件を追うつもりや
まぁ、和葉しか知らんけどな、その決断は

和葉は、事件捜査に役立つ技術を身につけたい
って言うてるんや

「もしかしたら、教授やかずえさんに近い仕事
になるかも知れへんな、アイツは」

「和葉ちゃんなら、心配ねえだろ
賢いし、忍耐力もある コツコツ積み上げて行く
だろうよ」

「そうね、家事もバッチリだし、私もたくさん、
教えてもらった」

工藤が余計な詮索を始めへんように、オレ達も
注意するようにする

でも、わかって欲しいねん
アイツかて悪意があるワケや無いんや

アイツは根っからの探偵や

謎があれば徹底的に究明するし
気になる事は、とことん調べもする
罪は罪として暴くのも、止められへんねん

アイツはアイツなりの正義の元、行動しとる
それは、必ずしもオレの考える正義と、完全に
一致しとるワケでも無い

ここだけの話として欲しい

オレは、警察を辞めて、冴羽さんのパートナー
としての道を選んだ槇村さんの気持ちは、わか
らんでもない

チビの頃から、内情は見てるからな

清濁合わせ飲まないと、護れない事かてこの世
にはあるし、でも、かと言うて、正義の名の元
に、何でもしてええと言うワケでも無い

きっと、槇村さんも、むちゃくちゃ悩んだんや
ろうし、家族の事も相当、考えたと思う

でも、未来を考えて、踏み切ったんやろ

警察でやれる事
警察ではやれへん事

天秤にかけたんやと思う

いつか、オレも刑事になった時、同じ壁にぶつ
かる日は来るんやろうと覚悟はしとるけど、

槇村さんと、オレの決定的な違いは、冴羽さん
のような相方が居るか居ないかやと思う

オレにはまだ、居らんからな、そう言う相方は

「死神みてえな相方には、一生出会うなよ、坊主
これ以上、和葉ちゃんを泣かせる事も無い」

真っ当な生き方が許される身の上なんだ
真っ直ぐ、生きて行けばいいさ、と冴羽さん


「オレは、オレの家族も知っとるんやけど」

オレがこっち側で踏ん張れとんのは、和葉が居る
からや

アイツが居らんかったら、もし、アイツに何かあ
ったら、オレは間違いなく、あちら側になる

これは、予想やなくて、確信や

昔から、無条件でそうやねん

正直、助けてもろうた以外にも、たくさん攫われ
たりもしとるし、危険な事もあった

和葉とオレは、生命を預けあって、ここまで生き
て来たんや

せやから、オレは、生命に換えてもアイツを護る
し、アイツにも、手を離させへん

和葉には、手を離したら殺すって言うてあるし

「和葉が居る限り、オレはオレなりに頑張って
生きるつもりや」

そうか、と言う冴羽さんに、オレはおっちゃん
が言うてへんかった事を伝えた

槇村さんの死をだいぶ経ってから知った親父達
は、非公式で香さんの行方をずっと追っていた
んや

理由は、ひとつ

身寄りが少ない香さんが、ちゃんと生活出来て
いるんか、危険な目に遭うてないか、無事を確認
するため

もし、リスクがある場合は、香さんを養子にする
事も視野に入れ、オカン達も交え、何度も話し合
いをしとったし、調査もしとったんや

ある時、香さんが無事に生きているらしいと知っ
た時は、密かに祝杯をあげていたのを知っとる

「おっちゃんは、その過程で冴羽さんを知った
みたいやで?」

「そうか」

「ちなみに、香さんが嫁に行く時は、必ずお祝い
するって言うてたで?」

まぁ、色々な意味で、面倒な人らやから
冴羽さん、覚悟しとってや

「あぁ、わかった」

香さんは何が何だかと言う顔をしとったけど、
冴羽さんはどうも覚悟がある様子

和葉が目を覚ましたので、一旦話は終えたオレら
やった

to be continued