名探偵コナンから、平和×新蘭×CHを
過去作品改訂で


東西名探偵とスイーパーの遭遇_15仮題

第6章 最愛


「珍しく大人しいな」

今回ばかりは、ミックの治療が長引いていて、
まだ時折、ベッドから動くのもしんどそうにし
ていた

ただ、この反応は悲観するべきものでは無いと
教授とかずえちゃんが言う

痛みを感じる神経が反応し始めている証拠らし
くて、ほんの小さな一歩だけど、回復に向けて
大事な一歩だと

「あの」

ノックの後、病室に顔を出したのは、工藤だ

ミックに治療の事とか、色々聞きたい、と言う
ので、オレが座っていた椅子を譲り、オレはそ
のままパトロールに出る事にした

ひととおり、教授宅周辺は問題が無い事を確認
して、そのまま自分の縄張りを見回り、可愛い
女の子達とも挨拶をして

香に頼まれたものを買って、また教授宅へと戻
ったら、中庭で無心に棒を振る服部が居た

暫くすると、「止め」と言う凛とした声が響き
素振りを止めた服部は、今度は筋トレに移るよ
うだった

和葉ちゃんを座らせて、筋トレや柔軟をしてい
く服部と、慣れたものなのか、カウントを取る
ワケでもなく、絶妙なタイミングで声をかけ、
次のメニューを誘導する和葉ちゃん

「なるほどねぇ」

幼い頃からの2人の絆は、今でも有効
もはや夫婦も超えた阿吽の呼吸っぷりに、あの
日、お互いを労りあいながら必死に逃げる背中
を思い出した

あ、冴羽さん!おかえりなさい、と笑顔を見せ
た和葉ちゃんに、ただいま、と返す

現れた香に、買って来た荷物を渡すと、一緒に
顔を見せた蘭ちゃんと共に大喜びでキッチンに
向かう和葉ちゃん

オレは、服部にトレーニングを少しアドバイス
すると、素直にやって見せた服部

暑い、と言ってシャツを脱いた服部の身体には
高校生らしからぬ傷痕があった

刀傷だけじゃなく、銃槍も2箇所あり

「せやなぁ、まぁ仕方ないねん」

でも、この傷だけは、特別や、と
真剣な瞳で手を見る服部

「は?和葉ちゃんがつけた??」

「せや、アイツの方が腹を括ったら何するかわか
らへんから危険やねん」

2人の生命が危機に晒された時、迷わず服部の
手を槍で刺したと言う

刺した和葉ちゃんも凄いけれど
片手で、刺されても離さなかった服部も中々だろ

「絶対に、アイツだけは死なせとうない」

生命に換えても、必ず護る

本当は、治療で、傷痕を残さないようにする事も
可能だったと言う

「コレは、オレ自身にかけた誓いやからええねん
絶対に消さん」

聖痕、と言うワケか

しかも、薄くなって、褐色の肌なので、ぱっと見
ただけではわかりにくいその傷は、最初、和葉ち
ゃんも知らなかったらしい

痕を残してしまった事を知った和葉ちゃんは、何
度も治療を受けるよう、懇願したらしいが、服部
が拒否したと言う

「そう言う冴羽さんこそ、あるやろ」

素人のオレとは違うて、と、にやり、と笑う服部

そうだなぁ、まぁそれなりにあるのはあるけどー
教えてはやらねぇさ

コイツに教えると、更に危険な事をやりかね無い
可愛いい和葉ちゃんを無駄に泣かせる事もねーだ
ろうからな

一見すると、和葉ちゃんを邪険に扱う服部
だが、その本性は真逆、だろう

意識があるのか、無意識なのか
服部の中では、和葉ちゃんとそれ以外の女の子は
括りが完全に違う

嫉妬深くて、熱しやすい服部の愛情全てを一手に
受ける和葉ちゃんは大変だろうな、と思うけど

最愛

それと真摯に向き合って、大事にして生きている
遠山さんの娘

あの日も、幼いガキンチョには、気絶してもおか
しくない状況で、真っ直ぐに服部を全身で真守っ
ていた

それは、成長した今でも変わっていないと言う事
は、服部が言うように、いざとなったら、和葉ち
ゃんの方が凄いのだろう

服部は、そんな和葉ちゃんをパートナーにして、
これからどんな道を生きるのだろうか

まぁ、最愛、最強の絆を引っ提げて
自由闊達に飛び回るんだろうなぁ、と言う予感

オレも大概、人の事は言えねーけど
負けてはいられないし、負ける気も無い

うちにも予測がつかないデンジャラスレディが
約1名、居るんでね

「おーい、リョウ!」

へいへい

ハンマーを持ち出されては大変なので、慌てて
オレは香に向かって歩き出す

「冴羽さんも大変そうやけど、最強の御守りが
居るからええな」

にしし、と笑う服部を小突いて、オレは早くしろ
と騒ぐ香の元へと急いだ

to be continued