名探偵コナンから、平和×新蘭×CHを
過去作品改訂で


東西名探偵とスイーパーの遭遇_11仮題

第4章 既視感

ひとしきり、拗ねる和葉ちゃんとその対応に苦慮
する服部をからかい、ひとまず今日は、教授宅に
世話になる事にして、

オレと香は、まず屋敷奥の研究室へ向かった

ミックは、丁度あの爆破の少し前からここで両手
の機能回復のための治療を極秘裏に受けていた

だから、爆破騒ぎには巻き込まれてはいなかった

結構元気そうだったけど、まだ治療の痛みが引か
ないらしく、苦しそうだった

ま、かずえちゃんに甘えまくってそれなりに幸せ
みたいだけどな

香とオレに用意された部屋に入り、香が淹れてく
れたコーヒーを飲みながら、香の顔を見ていた

「な、何?」

「いんや」

香、既視感ってあるだろ?

既視感?

あぁ

オレはまだ、服部に本当の事を言っていない

オレが、和葉ちゃんをいつから知っていたのか

「和葉ちゃんのあの瞳と、服部のあの瞳、何処
かでみたんだよねー」

「2人共なの?」

「あぁ」

あの大きな黒い瞳、切れ長の瞳を、いつか何処
かで目にしていた

和葉ちゃんの父親、遠山さんに会った時に、
セーラー服と学ランの2人が下校する姿を見かけ
た事はあった

その時にも、感じていた
あの瞳、何処かで、と

「そんで、香と初めて会った頃の事を、思い出
していたって言うワケ」

「私がリョウに会ったのって確か、16歳の頃だ
から、現在の和葉ちゃん達よりは1歳下かな?」

11年前、か

香が16っつー事は、アイツらは、5、6歳?
小学生になる少し前か

あ?
ああ?ああ、あの時の、か!

漸くヒットした記憶

「思い出したの?」

「あぁ、アイツらだ」

ユニオンの末端組織を探っていた時、ひとつの
組織が警察官の息子と娘を誘拐した現場に遭遇
した

槇村が、知り合いの刑事の子だと気がついて、
単独で救出すると言い出したんだ

涙を浮かべながらも、じっと手を繋いで座る幼い
女の子と、その隣で、涙も浮かべずじっと機会を
伺ってているような様子の男の子

脅迫相手と上手く電話が繋がらないのか、それに
イラつく誘拐犯が、時間潰しに、と、その2人に
目をつけた

女の子を連れ出そうと手を引っ張って、抱きあげ
ようとするのを、手を離さず、蹴り上げ抵抗した
男の子

「オレはどっちでもいいぜ?
じゃあまずはオマエからにする?」

やめとけ、と言う仲間の声を無視して、男の子を
乱暴に連れ去ろうとするのを、今度は女の子が、
その男の子にしがみついて離れない

誘拐犯らのイライラが、最高潮になったタイミ
ングで、槇村が一発、室内に撃ち込んだ

「リョウ、あの2人を」

槇村の突入を助けながら、あの2人を救出しよう
としたオレだったんだけど

「どうしたの?」

「それが、突入したタイミングで、どうもその隙
に逃げ出したみたいでさ」

「ええっ!」

槇村が、間も無く警察が踏み込むから、リョウは
子供達を、と言うので、慌てて周囲を探してみた

「小さいクセにさ、妙に慣れてるっつーかさ、
手を繋いで、互いの傷気にしながら、励ましあっ
て走ってんだ」

大丈夫か、かずは?
へーじ、大丈夫?

後少しやから、おとんらが悪者退治してくれる
と言う男の子に、うん、と頷く女の子が早う帰ろ
うと応える

仕方ないので、後ろを気にしながら逃げる2人に
気付かれないように、2人が、日本家屋の大きな
屋敷の前で待っていた和服姿の女性に飛び込むま
で、見送った

「気分は、はじめてのお使いを見守るスタッフ?
みたいな感じだったなぁ」

「で?」

「槇ちゃんと合流して、大阪から帰った」

あの後、槇ちゃんが粗方片付けたくらいのタイミ
ングで、遠山さん達が駆け付けたらしい

槇村から、遠山さんや服部本部長との関係を聞い
たのもこの時だった

「そっか、あの時のガキか」

そんな事が、と言う香の頭を、くしゃりと撫でた

槇ちゃんも罪な男だね〜
もう7年も経つのに、未だにふらりと現れて

「本当ね」

そう呟いた香を腕に抱き寄せて、その背を叩く

翌朝早く、まだ眠る香を部屋に残して、オレは
奴等の部屋に行った

工藤と蘭ちゃんは、爆睡中
服部と和葉ちゃんは、起きていた

和葉ちゃんの、肩や脚の強張りを解すように、
マッサージする服部と、その服部を見つめている
和葉ちゃん

あの幼い日の2人の姿が重なる

間違い無い、あの2人だ

「あ、冴羽さん!」

不意に和葉ちゃんがオレに気が付いて、手を振る
相変わらず、向日葵のような笑顔

「少しは楽になったか?」

「はい、ホンマにおおきに」

3人で、中庭に出た

「昨夜、オレ、思い出せたで?」

「?」

「アンタ、あの時、あの現場に居ったんとちゃ
うか?」

「平次、あの時って?」

「小学校に上がるちょっと前に、最後に誘拐さ
れた、あん時や」

「最後に?あぁ、あの時?」

「せや、知らん男の人が飛び込んで来て、その隙
に、一緒に逃げたやろ?」

「あぁ、おばちゃんが家の前で待っててくれたん
やね」

せや、と言う服部に、思い出したわ、と言う和葉
ちゃん

「飛び込んだのは、槇ちゃんだ」

「香さんの、お兄さん?」

「あぁ、そうだ」

あれは、知り合いの刑事の子供達だって気付いて
オレが止めるのも聞かないで、飛び出したんだ

「和葉ちゃんらの父親達も来るだろうから、消え
た子供達が、自力で帰宅しようとしているか確認
しろ、って言われてね」

「ほな、オレらの後、つけてたんか?」

「あぁ、どっかの屋敷前で待つ、もっこり美女に
オマエらが飛び込むまでは、見送ったぜ?」

もっこり?と首を傾げる和葉ちゃんと、その耳を
塞ぎ、変な事、和葉に吹きこむな💢と怒る服部

「あーんなチビも、こんなに大きくなっちまうん
だな、11年も経つと」

わしわし、と2人の頭を撫でた

「でも、冴羽さん、よう思い出せたなぁ」

「ん?あぁ、香だよ、香」

「香さん?」

「あぁ、あのすぐ後、16歳の香と遭遇したんだ」

「16歳の香さん?きっと、めっちゃキレイやった
んやろなぁ💕」

「いんや、まだまだシュガーボーイで、オンナに
モッテモテだったぜ?」

「あ、なんかわかるかも!
ボーイッシュで、ハンサムやったやろうね
私の友達の翠もそうやねん」

和葉ちゃんが見せてくれた写真
ショートカットの可愛こちゃんが良い笑顔で和葉
ちゃんと寄り添う

あぁ、確かに
背が高い彼女は、あの頃の香によく似ている

「あー、その頃の香さんに逢いたかったな」

うっとりしている和葉ちゃんには言えないなぁ
香がハンマーの使い手だって事も

そうこうしていると、工藤らも目を覚ましたら
しく、揃って中庭に現れた

工藤新一

オレは、この息子の方よりも

工藤優作

こっちの親父の方をとてもよく知っている

教授の知り合いのひとりで、まだ日本に来たば
かりの頃、時々、教授の邸宅で顔を合わせてい
たからだ

英語でのコミュニケーションが取れる人だった
から、日本語を勉強するためにも、いいだろう
と言う事で、選ばれた人だった

工藤有希子

バイクに乗って、颯爽と旦那を迎えに来る肝っ
玉奥様も、何度か顔を見た事がある

上手い事、両親のDNA、受け継いだもんだなぁ
と、あの2人のガキを見た

確か、あの夫婦、現在は海外在住だったはずだけ
どなぁ

「リョウ!みんなももう起きたんだ」

香が現れた

「教授とかずえさんが呼んでるわ」

「わかった」

香の肩をぽん、として、オレは屋敷内へと戻り、
庭の方では香の元気な声が響いた

こんだけ若い人が居るんだから、今日はたくさん
下拵え、出来そうだわ💕

働いてねー、特に、若いイケメン2人💕

そうだ、そうだ、と言う和葉ちゃん達の元気な声

さ、冴羽の手伝いが、と言いかけて諦める男達の
声が交差した

to be continued