名探偵コナンから、平和×新蘭×CHを
過去作品改訂で

※ストーリー展開都合により、和葉ちゃん母は
不在の設定です


東西名探偵とスイーパーの遭遇_2仮題


「お母ちゃんが亡くなった後は、ずっと絶えず
あったんよ、そう言う話」

服部の隣にちょこん、と座った和葉ちゃん

工藤くんの、あの事件が動き出す少し前、せや
あの皐月堂での事件の後や

お父ちゃんに、急にお見合いの話が持ち上がっ
たんよ、最近は無かったんに

「それも、断れん形で」

和葉ちゃんは、視線を窓の外へと向けた

平次は、事件や、言うて飛び回ってたし、他に
相談出来る人も居らんかったし

「そりゃあ、断れないよな
いくら府警の刑事部長だって言ってもさ、警視
総監から、娘と見合いしてくれって言われたら
さすがになぁ?」

「ちょっと、リョウ💢」

「お父ちゃんは、別に会うだけやし、言うたん
やけどな、私、言うたんよ」

お父ちゃんが決めって
お父ちゃんがええ人やって思うたんなら

一緒になってもええよ
私は、お父ちゃんの判断に任せるって

ええっ((((;゚Д゚)))))))

その場に居る全員が衝撃を受けた

「おまっ!お、おっちゃん!」

お父ちゃん、会いに行った後、言うてたんや
結婚はせえへんけど、ええ飲み友達が出来たん
やでって言うて

せやから、一度、どんな人か見てみたい思うた
からな、訪ねたんや

「訪ねたって、和葉、オマエひとりでコッチに
来たんか?」

和葉ちゃんは、コクンと頷く
せやかて平次、居らんかったし、と

「和葉ちゃん、ひとりで警視庁に?」

コクンと頷く和葉ちゃん

「冴子、毎日飛び回ってるのに、よく捕まえら
れたな」

「半日以上待ったで?」

和葉ちゃんは、ギリギリまで待ったらしい

「平次と一緒やないから、日帰りせなお父ちゃ
んにも、おばちゃんらにも怒られてまうから、
もう無理かなぁ、思うたんやけどな」

ゴメンなさい、遅くなって、と駆けつけて来た
野上警視と対面出来た、と言う

「でな、わざわざ電話してくれてん」

帰りが遅くなるから言うて、おばちゃんとな、
お父ちゃんに、と笑う

「一旦、冴子さんの家に寄って、冴子さんな、
わざわざ着替えてプライベート用の車に乗せて
くれて、大阪まで送ってくれてん」

途中、一緒に食事休憩を取りながら、服部邸ま
で送ってくれた、と言う和葉ちゃん

「色んな話して、ええ人やなぁ、と思うたけど
お父ちゃんが言うてた意味もわかったんや」

「和葉ちゃんの親父さんが言う意味?」

「結婚は出来ん、って言う意味」

冴子さんのここには、まだ、大事な人が居ると
言う和葉ちゃんは、胸元をとん、と叩く

「お父ちゃんもな、まだお母ちゃんとのことを
過去には出来ん、言うてた」

ニコッと笑った和葉ちゃん

「せや、私が入院中も、お見舞いに来てくれた
んよ?平次、アンタも、会ってるやん」

「オマエの見舞い客の中に、あんなフェロモン
バリバリの姉ちゃんなんかおったか?」

「アンタ、オンナ見る目無いなぁ!冴子さん、
あの時は普段着で来ててん、お父ちゃんと大滝
ハンらと一緒に」

アンタあの時、事件の件でお父ちゃんらと話こ
んでたやんか、と言うと、暫く思案顔をしてい
た服部は、あぁ、別嬪さんが混ざっとったなあ
と言った

「冴子の普段着って、そんなに違うのか??」

「ミック、オレがさ、戦闘服以外の冴子と対面
出来てると思うか?出来てたら今頃、もっこり
の貸しのひとつやふたつ💢」

「女子高生の前で、アホな事言うな💢」

「香さん、ハンマーはやめて!
請求書、冴羽さんに回すわよ?」

俄かに騒々しくなった店内

オレはふと、蘭に訊いてみた

「ところで、蘭はどうして知ってるんだ?」

そう、オレはずっと腑に落ちなかったのだ

おっちゃんの刑事時代の伝手や仲間は、一通り
把握しているはずなのに、野上、と言う名前は
耳にした事が無かった

それに、服部じゃねーけど、アレだけの女刑事
だったら、見逃すはずも無い

何度も警視庁に足を運んでいるけれど、お目に
かかったのは、今日が初めてだった

しかも、野上さんの方は、蘭を一目見て、ちゃ
んと記憶していた

蘭ちゃん、と迷わず呼んだから

「直接の知り合いはね、槇村さんって言う刑事
さんだったの」

蘭の声に、何故か、香さん達全員が一瞬動きを
止めた

「うちのお父さんが警察を辞める数ヶ月前にね
その人も刑事さん辞めてしまったみたいなんだ
けど」

それまでは、何度か、事件絡みで顔を合わせて
いたらしい

「数年経って、その人が亡くなったって訊いて
お父さん、その時、何だか口惜しそうな顔して
お酒、普段よりたくさん飲んでたの」

槇村さんが、時々一緒に連れて来た刑事さんが、
野上さん、と言う蘭は、超子供の頃に、何度か
おっちゃんと妃弁護士と一緒に、その2人とは
顔を合わせていた、と言う


「その槇村って言うのは、私の兄よ」

「ええっ!」

「もう亡くなってから7年は経ったけど」

哀しそうに笑った香さんが、ポーチから写真を
出した

「あ、そうです!この方です!」

カッコいい人なのに、何でいつも大きめの古い
メガネをしてるのかなぁって、不思議だったん
ですよ、と笑う蘭に、柔らかな笑みを見せた香
さん

「それはね、父の遺品のメガネをね使っていた
からなの」

私も何度も言ったのよ?
アニキにはそれ似合わないから、違うのにして
ってね

そう言った香さんは、父息子2代続いた刑事だ
と教えてくれた

その話をしている時、リョウがひとり窓の外に
やった視線を動かさなかったのが気になったが

それを邪魔するように蘭にちょっかいを出そう
とするミックを追い払うのに忙しくなってしま
って、それどころではなくなったオレだった

ひとしきり騒いだ後、帰ろうとした時の事

オレと蘭に続いて、服部が和葉ちゃんと立ちあ
がった途端、和葉ちゃんが転んだ

「ご、ごめん」

慌てて立ち上がろうとしても、上手くいかない
様子で、服部が無理矢理背負い上げた

「ねぇ、大丈夫?」

米花まで戻ると言うオレらに、香さんが声をか
けてくれた

「あぁ、コイツ背負って逃げたり、飛び降りた
り、そんなんようしとるし、大丈夫や」

服部の発言もどうかとは思うけれど、大人しく
背負われている和葉ちゃんは、確かに相当、具
合いが悪そうだ

「うち、空き室あるからいいわよ?」

すぐ近くだし、ね、リョウ、と言う香さん

ちょっと片付けて来るから、少しだけ待ってて
車も回して来るから、と言うと、パタパタと足
音を立てて行ってしまった

「あのおせっかい」

とリョウは呟いたけれど、喫茶店の店主に何や
ら言うと、服部に、和葉ちゃんを抱っこして、
その椅子に座れ、と言った

「オレの脚に、足、乗せて」

「服部、オマエは彼女、抑えてろ」

戸惑う和葉ちゃんの足を、自分の足に乗せて
跪くと、和葉ちゃんの靴や靴下を取った

真っ白な小さな足
それとは対照的に、傷跡とその周囲は真っ赤に
なって腫れあがっていた

「オマエ、何で言わんかったんや、アホ」

「気付かねえオトコの方が問題だ、ガキ」

和葉ちゃんを叱る服部と、
服部を叱るリョウの声が被る

傷口に何やら薬を塗り込んでから、全体を湿布
で覆い、丁寧に包帯で巻いた

和葉ちゃんの両脚を軽く握ると、渋い顔をした
リョウ

「少し、熱が出るかもな」

こっちの脚だけ、かなり熱を持ってると言うと、
抱き抱えてるオマエにはわかるだろ、と服部に
言った

「おせっかいなパートナーと、可愛いお嬢さん
2人に免じて泊めてやるけど、ひとつだけ」

オレらの事は、絶対、余計な詮索はするな

オレと服部にだけ、恐ろしい視線を送った

それだけは約束しろ、と

「便利屋の客にはさ、色々な事情を持った奴が
多くてね」

オマエらみたいな探偵にごちゃごちゃ正論言わ
れると、生きていかれない連中がたくさんいて
オレと香はそいつら相手に仕事してんだよ、と
言い捨てた

「わかりました、余計な事はさせません」

リョウの言葉に応えたのは、蘭だった

それは意外だったらしく、少しだけ驚いた顔を
した面々

「私も、平次に勝手な真似、させへんよ」

約束やと言う和葉ちゃんに、ふっと笑みを浮か
べたリョウ

(やっぱりコイツ、和葉ちゃんと何かある?)

服部も、和葉ちゃんを抱える腕に力が入ったの
は、オレの目から見てもわかった

暫くして、香さんが戻って来て、オレらは2手
に別れて車に乗せられて、リョウと香さんの住
まいがあるアパートへと連れて行かれた

香さんはボロアパートだと笑ったけれど、レン
ガの感じはアンティーク調だったし、造りもか
なり頑丈そうな気がした

まぁ、階段っーのが大変だったけど

服部は、コレ、オレにはある種、筋トレやなと
呟いて苦笑していた

和葉ちゃんは、何度も降りると言ったし、意外
にも、リョウがガキには無理だろう、と和葉ち
ゃんを抱きあげようとしたんだけど、

頑として、服部は和葉ちゃんを手放さなかった
んだ

to be continued