名探偵コナンから、平和な2人を
組織壊滅カウントダウンのお話を描いてみた
くて、描きかけて中断していたお話をやり直
しです
仮タイトル：Black Out -9
一足早く、風見が退院して、服部邸へと無事
送り届けられた事を知り、ホッとした
オレの方が、ケガの状態の都合で、退院が僅
かに遅れたのだ
それでも、夜は明ける
迎えが来たから、と言われ、退院手続きをし
てもらい、現れた服部夫人とその運転手だと
言う西條さんに荷物を載せてもらい
車に乗り込んだ
あ
「おかえりなさい、零さん」
一番、会いたかった人が、車内に居た
何の準備もなく、唐突に目の前に現れたその
人が、映像でもなく、ホンモノだと理解する
のに時間がかかる
2列目と3列目が向かい合わせになっている
広い車内には、服部夫人と
運転席には西條さん、そして、助手席には
「よぉ、ええ子にしとったみたいやな
平ちゃんから聞いたから、とっておきの祝
いを持って来てやったで！」
あはは、と陽気に笑う遠山さんだった
一番ええ、退院祝いやろ？と笑う
素直にはい、としか言えないオレは、梓さ
んの隣に座らせられると、車はスムーズに
走り出す
「平ちゃんと和葉が、モノより人がええっ
て言うてな」
梓さんにリボンをつける、つけない、で朝
から大騒ぎやってん、と言う遠山さんに、
ええ、ホンマに、と服部夫人も笑う
真っ赤になった梓さんの手を握る
あれ？と思った
柔らかな掌、指先にケガの跡を見たからだ
「あのね、私、今、修行中なの」
匿われている間、梓さんは変装して関西で
人気のカフェで、ホールではなく厨房の方
で働いていたと言う
ポアロはいずれ再開予定で、マスターから
再開する時のためにメニュー開発を頼まれ
ていたと言う梓さん
服部邸から程近いカフェで、修行している
と言う
「身体は大丈夫なのか？」
「もちろん、静華さん達が先方に先に伝え
てくれてあったから」
体調に影響がない範囲で働いている、と笑う
表情は柔らかい
無事、6ヶ月になりました、と笑うお腹は、
少し膨らみが目立つようになっていた
「降谷くんは、休暇が明けたら警視庁捜査一
課行きだ」
風見くんもだ、と笑う遠山さんは、今暫くは
ICPOに籍を置くと言う
降谷くんは、知ってるのか？と言う遠山さん
に、梓さんは首を横に振った
？
子供が出来た事は何となく気がついていた
でも、その事は直接梓さんから聞いては無い
し、自分からも尋ねては無かった
「あのね、あの後の検診でわかったんだけど
ね」
梓さんに、何度も聞き直してしまった
子供は2人同時に生まれて来る予定だと言う
のだ
2人、つまり、双子か？？
いきなり？？
混乱するオレに、梓さんが泣きながら言った
本当はね、3人だったみたいなんだけど
途中で1人は確認出来なくなってしまった、と
頑張って、この2人は必ず産むから、と言う
梓さんに言った
大丈夫、2人はきっと3人分以上のエネルギー
を持って生まれて来てくれるはず
だから、無事に生まれたら
全力で愛そう、と
オレも、一生懸命に生きるし、働くし
新米の親父として、何が出来るか考えるから
よろしくな、と言って、抱きしめた
うん、と頷く梓さんが教えてくれた
匿われ始めた時のメディカルチェックで正式
に妊娠中だとわかって、それからは、服部や
和葉ちゃんが中心になって
避難して来た蘭ちゃんや青子ちゃん達までも
巻き込み、みんな育児勉強に夢中だとか
ハロや大尉にまであれこれ教え始めたらしく
「ちなみに、服部くん、和葉ちゃん、蘭ちゃ
ん、青子ちゃん、私、静華さん、みんなでね
資格も色々とったの」
工藤くんと、黒羽くんも勉強中だと言う
「無事出産出来るまで、駆けつけられへん
親御さんらに代わって、ちゃんとサポート
します」
服部夫人はきっぱりそう言ってくれて、既
に遠山さんと一緒に梓さんの実家とも連携
を取り、発育状況を報せていると言う
みせてもらったエコー写真
母子手帳に不意に込み上げるものがある
「過去は変えられへんけど
未来は変えられる」
未来を迎えられへんかった人達の分も
精一杯、全力で未来を走ったらええ
遠山さんはそう言うと、楽しみやなぁ
どんな2人が現れるかな、と楽しそうに言う
服部夫人もホンマに楽しみ、と柔らかな笑み
梓さんが、今のところ、多分、男女の双子に
なる予定だと教えてくれた
膨らみに手を当てると、微かに動きを感じた
あと数ヶ月後には、出会う生命だと思うと
多くの犠牲を払って手にした未来に胸がぎゅ
っとなった
「お帰りなさい」
わんっ！にゃあ！
服部邸に到着すると、玄関を開けるなり、
ハロと大尉が現れた
めちゃくちゃ毛並みも艶々で、元気いっぱい
の2匹と、服部達の明るさに眩しさを感じた
客間で休んでいた風見も現れて、みんなで
大宴会になったんだ
to be continued