名探偵コナンから、平和な2人を
メモから


Sweet dreams 


「ありがとうございました」


一礼して、武道場を後にした

防具や竹刀を持って、みんなで歩き出すと、
すっと黒塗りの高級車が横付けされた

「平次くん」

執事の伊織と紅葉やった
話があるので、乗れと言うのを断った

「悪いけど、今日は部活で来てんねん
この後、学校に戻らないとアカンし、単独
行動は出来ひん」

食い下がられたけど、今日は無理やと言う
て、帰ってもろうた


自分が立ち回る先に、頻繁に紅葉が現れる
ようになり、

次は事件を持ち込まれるようになり


最初は気がつかへんかった


紅葉が現れるのは、和葉を誘って出かけよ
うとしたタイミングや、出かけた先やって
事を


それだけやない


和葉から、怒られる事も、詰られる事も、
何処かへ行こうと誘われる事も無くなった
んや

メールやメッセージも、自分からしか無か
った事にも気がついた時

オレはひとり、ゾッとした

自分は、和葉に何も期待されてへんやんっ
て、諦められてるやんって、気付いたから

慌てて、色々調べようとしたタイミングで
わかったんや

府警で、オレの事をよう思うてない奴等が
陰口を叩いているのを耳にしてん

「ボンはまだ気付いてへんのか?
あのグラマーなねーちゃんの方が策士やな」

「気付いてへんやろ
毎回毎回、そう都合よく事件や事件のヒント
を出せるなんて、あるわけない」

ほら、今日も来てるで?

ホンマやな、と鼻で笑うて、立ち去った2人
を見送り、窓の外を見たオレは、変装した
伊織がウロウロしとんのが見えた

まさか、と思うて、気をつけて周りを見て、
調べたら、すぐにわかったんや

事件を持ち込んだり、ヒントを調べまわっ
たりしとんのは、伊織の仕業やって

しかも、テレビ局の前から、オレの周囲を
調べ回ったりしとった事もわかって

和葉や美希子が話さなかった、皐月堂のあ
の勝負に賭けられたものについてもわかっ
て、

愕然としたし、その後めちゃくちゃ焦った
このままやったら、和葉を見失うって


「は?今頃わかったのか?」


工藤には、ホンマに呆れられたし
叱られた

それからオレは、少しずつ変えたんや

著名人が絡むものや、遠征が必要になるよ
うな事件は、毛利探偵へ依頼してもらった
し、

事件以外の外出や、パーティーの話は、全
部断った


一方で、和葉を誘って出かけようとしたり
オレは頑張ったんやけど

まさかの和葉から、ごめんなさいをされた
んや

あんな、と申し訳無さそうに言う和葉の話
を聞いて、

ちょっとだけ、安心して
全力で応援する事にした


「おい、服部」

オマエ、早くしないと間に合わないぞ、と
言うツレに、我に返ったオレは、駅でツレ
達と別れて、反対側の路線に乗った

to be continued