名探偵コナンから、平和な2人を
以前書きかけたメモから手直し


西の名探偵との遭遇



Love is like a flower – you’ve got to let it grow.”
John Lennon
「あ、黒羽くん、青子ちゃん」
おはようさん、と笑う和葉ちゃん
おう、と、物凄い顔色で、厚着させられてる
服部は、もう一足先に何か食べ始めている
今朝は和食、洋食、どちらも用意がある、と
言うので、オレと青子は洋食を選択すると
トマトソースがかかったオムレツ
サラダにハム、カップスープにトースト
紅茶と、生のフルーツが添えられたヨーグルト
が提供された
オムレツがふわっふわで、めちゃくちゃ美味い
コーンたっぷりのカップスープも、香りがいい
紅茶も美味しい
「せやろ?たまには紅茶もええかなって」
どうやら、静華さんの知人からもらった茶葉を
お裾分けされたらしい
今日のオヤツは紅茶に合わせてクッキーな、と
笑う和葉ちゃんは、大きな土鍋を運んで来ると
服部との間に置いた
「あぁ、コレ?梅がゆやねん」
ちょっと食べて見る?魚は入ってへんから、と
言う和葉ちゃんに、少しもらうと
はちみつ梅と昆布出汁が効いた美味い粥だった
たまごの粥より、服部家や遠山家はこちらの梅
粥の方が人気だと言う
服部は、待てが出来なくて、先にこの梅がゆを
食べていたらしい
和葉ちゃんにおかわりをよそってもらうと、そ
れは満足そうにまた食べ始める
出汁巻とほうれん草の白和え、お味噌汁も美味
そうにたいらげる服部は、顔色は悪いけど少し
ずつ元気をもらっている様子
デザート代わりに、と、フルーツのスムージー
まで完食すると、和葉ちゃんにソファの一辺に
寝床を用意され、素直に転がった
薬やら水分補給をされて、氷嚢をされると、ま
た元気よく眠り始めた服部
「今日は、お昼ご馳走にしましょう」
医師を連れて戻って来た静華さんは、服部を診
てもらい、数日静養したら十分と言われ、ほら
な、と笑ってみせた
オレと青子に今日は是非食べさせたい、とか
和葉ちゃんも、そうやねん、と笑うと、さっさ
と静華さんとキッチンへ向かう
少し置いた方が味が馴染むから、と
用意されたのは
稲荷寿司と太巻き、キンパ
大根のそぼろ餡
おでん
診察後も爆睡している服部の看病をしながら、
オレらとカードゲームを一緒にする和葉ちゃん
静華さんも、和葉ちゃんに一任して服部の世話
はやかずに、むしろ和葉ちゃんの方をしっかり
フォローしている
お茶を飲みながら、百人一首についても色々と
教えてもらったオレと青子は、一緒に遊びなが
ら勉強にもなった
「古典、難しいなぁって苦手だったけど、何
だか興味が持てた」
青子が古典文学について話しても、静華さんは
スラスラと逸話やら面白い話をしてくれて、
「私も学生の頃にはつまらん、思うてたんや
でも、兄がなぁ、変わってるって言うか」
静華さんのお兄さんは、確か流派の家元だと思
うんだけど、和葉ちゃんと静華さんが言うのに
はかなり変わった人らしい
古典文学好きで、それも、西洋、東洋、日本と
いずれも好きな作品があるらしく
ほぼマニアだと笑う静華さん
そればかりか、実はバイク好きで、洋食好き
イベントは国内外いずれも楽しみたいタイプだ
とか
「せやからな、私、嫁いでから知ったんよ」
ハロウィンやクリスマス、仮装しなくてもいい
んだって、と笑う静華さんに、和葉ちゃんもそ
うなんや、と笑う
いつか、会う機会があると思うけど、ギャップ
に驚かないように、と言った
静華さんは、着物での生活も、和食も、嫁いで
から義母に一から教えてもらったらしい
「優しい義母さんやったんよ?
話も聞き上手で、教え上手、楽しむのも上手な
人でなぁ」
和葉ちゃんも、小さい頃、お菓子作りを一緒に
したし、季節ごとに呼ばれて、よく遊んでもも
らったとか
あやとりや、折り紙
特に折り紙は、跳ねるカエルや、羽ばたく鶴
など、たくさん教えてもらった、と言い
「あ!跳ねた!」
和葉ちゃんがメモ帳を折って作ったカエルに
青子が大喜びした
服部の様子をみて、水分を摂らせて氷嚢を替
えて戻って来る和葉ちゃんを眺めてわかった
彼女は、ゆっくり、大切に養育されて来て
そうされた事をちゃんと理解して、感謝して
自分のモノにした知識や経験を、活かして生
きているんだ
服部の事も、大切にしてるし、その事を静華
さんもちゃんと理解しているから、和葉ちゃ
んに任せているんだ

服部も、無意識とはいえ、和葉ちゃんのそう
言う愛情に甘えてるんだろうなぁ

幼なじみの恋愛ごっこ

そう揶揄された事もあるみたいだけど、オレ
が見る限り、そんな生優しいモノでは無いと
思うんだ

互いの生命まてかけあって、大事にしてる
それが、ちゃんと互いに伝わるといいのに

苦しみながらも、安眠し始めた服部や
優しい眼差しで見守る和葉ちゃんを眺めなが
ら、そう思うオレだった

to be continued