名探偵コナンから、平和な2人を
以前から描きたかったお話を

Cara
(イタリア語で、愛しい人)


はぁ、はぁ
大丈夫か?和葉、と問う声も乱れてまう

やっぱり、運動不足やな、と頭の片隅で思い
ながら、大丈夫と言いつつ真っ青な和葉へ、
手を伸ばして抱き寄せた

早朝、朝ごはんの支度に起きた和葉を、手伝
うと立ち上がったオレに、おっちゃんが合図
したんや

今すぐ2人で家を出て逃げろ、と

府警や服部邸ではなく、ある場所を指定して
オレはゴミ捨てを装って和葉と部屋を出て
ゴミ捨て場から全力で逃走した

監視カメラに映らへんルートを思い出しつつ
朝っぱらから猛ダッシュ

部屋に幽閉されとったからなぁ、ずっと
体力は落ちてる、いくら若い言うてもな

西條ハンが待機してくれとった場所で、用意
してもろうてたバイクとキーを預かり、和葉
にもメットを被せ、出発した

オレらが到着したのは、京都にある別邸

オカンの実家関係者の屋敷が並ぶ一角で
ある意味、住宅街そのものが関連施設と言う
くらい

この別邸は、オレも和葉も爺ちゃんらがいた
頃にしょっちゅう来てた場所で

親父が相続した後、オカンと手を入れてたの
は知っていたけど、完成を見たのは初めてや

バイクは言われた場所に停めて、歩いて向か
うた別邸は、相変わらず見事な中庭や裏には
竹林もあり、静かな佇まい

「駐車場、整備したんやな」

広くなったし、メンテナンス用品をしまうた
めの倉庫もあったし、門扉には宅配ボックス
もあった

玄関へ向かうアプローチもバリアフリーにな
っとった

受け取って来た鍵で入ると、もういつでも住
めるくらい支度が出来とった

リビングにスーツケースが2人分置いてあり
テーブルに手紙があった

オレと和葉の部屋と指定されとった部屋は、
水回りやリビングに近く、中庭も望めるええ
位置にあったんやけど

馬鹿でかいベッドがひとつと、サイドテーブ
ル、ウォークインクローゼットがある寝室と

ソファとテーブル、AV機器や本棚が並ぶ、
ミニリビング部分とゾーニングされとって

機材はまだ未設置のまま、段ボールで置かれ
とって、クッションやカーテンなどもまだ荷
を解かれてなかった

ちゃんと設置して使うよう書いてあったし、
クローゼットには、数着の服が、オレと和葉
の分置いてあった

荷解き前に他の部屋も和葉と見て歩き

キッチンには食材も機材もあったし
風呂場や洗面所も支度があった

親父とオカンの部屋は、一番支度が整ってい
たし、客間も洋間と和室が2つずつあって、
使えるようになっとった

リビングのTVやビデオ、パソコン周りを2人
で設置して、自分らに割り当てられた部屋も
設置して

ゴミ捨てもしてから、リビングにあった荷物
を和葉と確認した

色違いのボディバッグには、財布、スマホが
あったし、パスポートも用意されとる

「昨夜、何かがあったみたいや」

「え?」

昨夜、和葉の部屋には和葉とオカンが
おっちゃんの部屋にはおっちゃん、オレ、
工藤が
客間には工藤夫妻が
リビングにはポアロの兄ちゃんが、それぞれ
寝たんや

深夜、オレが手洗いに起きた後、少ししてか
らおっちゃんも部屋を出たのはわかってて

もう少しで起きないとアカン時間やったから
オレはそのまま寝てしもうて、目が覚めた時
は、おっちゃんも寝てたんや

で、和葉の手伝いをするため、起きたオレを
おっちゃんは捕まえて言うたんや

逃げろって

つまり、昨夜何かがあって

オカンはその前から万が一に備えてこの家に
あれこれ用意しとって

ってワケや

「でも、平次の部屋、私も使うてええの?
私、ソファで寝るな」

あのソファ、ベッドになるタイプやし、と言
う和葉に、あほ、と言うた

最初から、2人で使え、書いてあるやろ?

それに、何かあった時、離れてたらすぐ呼べ
へんから、離れてたらアカン

ホンマは違う意味で離したくないけど

え?

いや、何でもない

「なぁ和葉、取り敢えず飯、食おう」

腹減った、と言うと、せやね、と言う和葉と
キッチンに立つ

ちゃんとエプロンもあったし、オカンのも、
オレや和葉のもあったので、2人で色々備品も
確認しながら支度した

「食材も入れたばっかりみたいやな」
「せやね」

飯を食うてると、家にある電話が鳴り出した

「もしもし」

オカンからやった

オカン達もこれから順次移動するので、和葉
と2人で客間とかをすぐ使えるようにしてく
れと言う話やった

和葉とキッチンを片付けてから、各客間にあ
るシーツやらカーテンを取り付けて回り、

窓を開けて空気の入れ替えもして、掃除機や
雑巾掛けもしておいた

スーツケースにあるのは、オレと和葉の着替
えやと言うので、クローゼットへ移動させて

昼飯の支度をしよう、と言う事で、2人であ
れこれ作ったんや

豚汁、浅漬け、きんぴら、出汁巻
キンパに太巻きに稲荷寿司

弁当にして持ち出しても、室内でも食べられ
るようにした

最初に到着したのは、工藤一家

工藤はまた熱を出しているらしく、客間は
洋室の方へ通した

次に到着したのは、オカンとポアロの兄ちゃ
んで、ポアロの兄ちゃんは和室の方に通した
最後に到着したのは、おっちゃんと2人の高校
生やった

「はじめまして、オレ、黒羽快斗って言うん
だ、よろしくな」

「中森青子です、よろしくお願いします」

青子嬢は、オレと和葉は初対面ではない、と
言うオカン

小さい頃、捜査都合で関西に来た中森警部か
ら預かって、1週間、服部邸に居たと言う

確かに、和葉にも1週間滞在してもらって、
3人で遊び倒した記憶があった

洋間に青子嬢を通して、おっちゃんは黒羽と
一緒でええと言うて和室に陣取って

黒羽は青子と一緒がいいと拗ねていた
工藤夫妻の頼みで預かって来たと言うおっち
ゃん

確かに、本物の工藤によう似てる

一気に活気付く別邸で、昼飯を食いながら
おっちゃんの話を聞いたんや

to be continued